イギリスに古代ローマ時代の一大陶器生産地? 都市計画地区から環状遺跡と多数の窯跡が見つかる
イギリス・ノッティンガムシャー州で、環状遺跡と古代ローマ時代の窯跡と見られる遺構が見つかった。窯跡の発見は、ここがイギリスの歴史にとって重要な場所であることを示している。
ノッティンガムシャー州ミドルベックの宅地で考古学調査を行っている専門家によると、この地には1万2000年前から人間の活動が行われていた痕跡があるという。今回の発掘では、木の柱が立てられていたと見られる円形の遺構のほか、古代ローマ時代の窯跡73基が見つかった。
同州ニューアークの南にあるミドルベックでは、約280ヘクタールの都市拡張計画地区に、3000戸を超える住宅建設と約187億円を投じた道路整備が予定されている。
遺跡の発掘作業に携わる考古学調査サービス会社、オクスフォード・アーキオロジーの広報担当者は、BBCの取材にこう答えている。
「この窯跡はおそらく、ここがこれまで知られていなかった陶器生産の中心地だったことを示しています。この地域にとって、あるいは全国的に見ても重要な発見でしょう」
紀元前3300年頃のものと見られる円形の溝の内側にはいくつもの穴があり、研究チームは1つの円あるいは複数の同心円状に柱が立てられていたと見ている。また、この円形遺構が泉の湧くところに位置していたことから、文化的、宗教的な意味を持つ場所であった可能性があるという。
さらに、カンブリア地方ラングデールのものと見られる磨製石斧の刃の部分も確認された。これは円形遺構とほぼ同じ時代のものだが、約3000年後の鉄器時代の陶器片とともに発見されたことから、砥石として再利用されたことが考えられる。
加えて、青銅器時代の35の火葬墓や、同時代の首飾りに用いられたビーズも見つかった。これらは、鉄器時代には大規模な農耕集団が存在したことを物語る遺物だと研究チームは考えている。
この地域は従来、17世紀のイギリスで議会派と王党派が争った内戦(清教徒革命)との関連で知られてきた。しかし、近年の考古学調査では、最終氷期の終わりに近い1万2000年前にさかのぼる居住の痕跡が見つかっている。(翻訳:石井佳子)
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