スコットランドで新石器時代の遺構を発見。完全な形で見つかるのは初
スコットランドのアラン島で、古代の儀式や集会が行われた場所と見られる新石器時代の遺構が発見された。イギリスにあるこの種のものとしては、唯一完全な形で見つかっている。
この8月、グラスゴー大学の考古学研究者と地元のボランティアが、アラン島の岬、ドラマドゥーンポイントの遺跡で発掘作業を行なっていたところ、カーサスと言われる新石器時代の遺構を発見した。同遺跡は、5年前にスコットランド歴史環境協会が実施したライダー調査(レーザー光を用いたセンサによる調査)で見つかった。
カーサスとは溝や土手で長方形に囲われた土地で、儀式や集会などを行うために造られたとされている。紀元前4000年から3000年前にさかのぼるもので、長さ200メートル程度のものから10キロにおよぶものまである。
今回アラン島で見つかった全長1キロ以上のカーサスは、アラン諸島でも最大級かつ最も古い時代に属するものだ。島の重要な儀式の場であったマクリー・ムーアのストーンサークルに近い場所にあり、ストーンサークルよりも、さらに古いものと見られている。
グラスゴー大学で考古学の上級講師を務めるケニー・ブロフィーは、「この立地は、海岸沿いから島の内陸部へと人々を誘ってマクリー・ムーアのストーンサークルを見せるため、戦略的に考えられたものだ」と、英ガーディアン紙の取材に答えている。
木や骨などの道具を用いてカーサスを造ったのは、スコットランドで最も早く農耕を行った人々だと推測される。この地に定住していた人々、あるいは強い宗教的・政治的信念を持つ巡礼者たちが、何十年もかけて造成したのだろうとブロフィーは説明する。
また、儀式に使われる場所と農耕地が他にない形で配置されていることから、この地には何らかのより大規模な計画があったのではないかと考古学者たちは考えている。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews