ARTnewsJAPAN

ジョニー・デップ、元妻と争った暗黒の5年がテーマの新作を発表。「鏡に映る自分を見つめ続けた」

2022年と今年初めにセレブリティをモデルにしたシルクスクリーンを2シリーズ発表した俳優のジョニー・デップ。この度、自身を描いた新作を発表した。

新作の版画を発表したジョニー・デップ。Photo: LAURENT KOFFEL/GAMMA-RAPHO VIA GETTY IMAGES

新作のシルクスクリーンとアーカイバルによる版画は、ジャン=バティスト・モンディーノが監督したディオールのフレグランス「ソヴァージュ」のイメージ・フォトを題材にしている。デップの新作のプロモーションビデオによると、作品のタイトル《Five》は、2018年にデップから身体的虐待を受けたと主張した、元妻で女優のアンバー・ハードとの裁判を巡る5年間に由来している。

バージニア州で行われた裁判では、アンバー・ハードが主張した「性的暴力」や「家庭内虐待」がデップの名誉毀損にあたると陪審員が判断し、ハードは敗訴した。また、イギリスで起こした裁判で、デップはハードへの虐待を報じたサン紙のオーナーを訴えたが敗訴。その後、映画『ファンタスティック・ビースト』と『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズから降板した。

デップはプロモーションビデオの中で、肖像画の制作を始めた2021年は「暗く、混乱していた時期」であり、「鏡に映る自分の顔を、異なる光、異なるアングルで何度もスケッチした」と振り返っている。

そして、2022年と2023年3月に、ヒース・レジャーボブ・マーリーリヴァー・フェニックス、ハンター・S・トンプソンなど、彼が40年近い俳優生活の中で影響を受けたり親しくなったりした有名人を題材にしたシルクスクリーンのシリーズ「フレンズ&ヒーローズ」と「フレンズ&ヒーローズII」をキャッスル・ファイン・アートから発表した

キャッスル・ファイン・アートのマネージング・ディレクター、イアン・ウェザビー=ブライスは、新作について、「今までで一番個人的な作品だと思います。ジョニー・デップの作品としてではなく、一点もののアート作品として見てもらいたい。 彼は生涯を通じて絵を描き続けており、その実力はアート通の人たちも評価してくれるはずです」と語っている。

過去の作品に比べ、自身を描いた新作は小さめのサイズで、価格も1950ポンド(約35万円)と安く設定されている。ウェザビー・ブライスによれば、デップは一枚一枚にサインをし、売り上げの約10パーセントをNPO法人のメンタル・ヘルス・アメリカに寄付するという。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい