今週末に見たいアートイベントTOP5: オラファー・エリアソン、川内理香子ら18組が参加する記念展、80年代のNYアンダーグラウンドを代表する写真家リチャード・カーンの50点を展示
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!
1. Women’s Lives 女たちは生きている―病い、老い、死、そして再生(さいたま市プラザノース)
誕生、老い、死──女性8作家の作品からライフコースを考える
現在開催中のさいたま国際芸術祭2023の一環として開催される。同祭の全体テーマ「わたしたちWe」にちなみ、女性の生活・人生をテーマとして制作する女性アーティスト8人の作品を通して、誰もが人生で直面する病、老い、死、そして誕生、魂の再生といったライフコースに改めて向き合い、共に考える。
人形を題材にし、新たな身体観、生殖の在り方や「人間とは何か」を問う菅実花は、「もしもラブドールが妊娠したら」というテーマの人形写真で、生命について多角的な視点から見つめ直す。インドネシアに拠点を置く本間メイは、自身の妊娠・出産の経験から、女性の身体の変化やそれを取り巻く日本とインドネシアの社会慣習やシステムについて思索する。ほか出品作家は一条美由紀、岸かおる、地主麻衣子、須惠朋子、松下誠子、山岡さ希子。
Women’s Lives 女たちは生きている―病い、老い、死、そして再生
会期:10月9日(月)~ 10月22日(日)
会場:さいたま市プラザノース ノースギャラリー(さいたま市北区宮原町1-852-1)
時間:11:00 ~ 18:00
2. アーツ前橋 開館10周年記念展 「ニューホライズン 歴史から未来へ」(アーツ前橋と前橋市中心市街地)
蔡國強、オラファー・エリアソン、五木田智央ら18組が参加。前橋市中心部が丸ごと展覧会場に
アーツ前橋の開館10周年記念展。2013年に前橋市中心市街地の商業施設を改修して生まれた同館にちなみ、会場を周辺の現代建築群や、アーケード街に拡大して開催される。メイン会場となるアーツ前橋では、ニューヨーク近代美術館(MoMA)での展示が話題のレフィク・アナドルや、蔡國強、オラファー・エリアソン、五木田智央、武田鉄平、川内理香子など、国内外で注目を集めている18 組の作品を6つのギャラリーを使って展示する。
同館から徒歩圏内にある「白井屋ホテル」、「まえばしガレリア」、繁華街の 7 階建ビル「HOWZEビル」では、蜷川実花、WOW、ハシグチリンタロウらの作品が並ぶ。また、アーケードのある「中央通り商店街」を起点に、4組のアーティストが地元クリエイター、老舗の百貨店とアートプロジェクトを協働。メディアアーティストの木原共はARを駆使し、未来に設置されるかもしれない標識を出現させる。
アーツ前橋 開館10周年記念展 「ニューホライズン 歴史から未来へ」
会期:10月14日(土)~ 2024年2月12日(月・祝)
会場:アーツ前橋(群馬県前橋市千代田町5-1-16)と前橋市中心市街地
時間:10:00 ~ 18:00 (入場は30分前まで)
3. イン・ビトウィーン(埼玉県立近代美術館)
飽くなき思索を続ける4作家を特集。作品からそのプロセスを辿る
日本にシュルレアリスムを紹介した福沢一郎に学んだ早瀬龍江(1905-1991)、リトアニア生まれの詩人・映像作家ジョナス・メカス(1922-2019)、墨や和紙など東洋古来の素材を追求し、「もの派」とも大きな関わりを持った林芳史(1943-2001)、そして、自身の身体を起点に、さまざまなメディアを用いて、社会と個の関係を考察する作品を発表する潘逸舟。彼ら4作家を、飽くなき思索を続け、境界の「狭間に立つ」者として捉え、今日的な視点を交えて彼らの眼差しを探る。本展のタイトル「イン・ビトウィーン(In Between)」は、ジョナス・メカスの同題の映像作品からつけられた。
会場では、4人の小個展が連なるように構成される。日常的な営みを起点に、それぞれ絵画、版画、ドローイング、映像などのメディアを用いた試みを重ね、他者との境界やアイデンティティについて思索を深めていった足跡を紹介する。さまざまな境界線のあわいに立ち、往還する作家たちの眼差しと手探りは、現在に生きる私たちの視野を豊かに広げてくれるだろう。
イン・ビトウィーン
会期:10月14日(土)~ 2024年1月28日(日)
会場:埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1)
時間:10:00 ~ 17:30 (入場は30分前まで)
4. Richard Kern photo exhibition 「Transcending Transgression」(GALLERY X BY PARCO)
80年代のNYアンダーグラウンドシーンを代表する写真家の初期から現在まで約50点を展覧
1980年代、ソニックユース『Death Valley ‘69』のPVをはじめとするフェティッシュで扇情的な映像や写真で「Cinema of Transgression(破戒映画)」というムーブメントを牽引した、ニューヨークの写真家・映像作家のリチャード・カーン。90年代以降は主に写真家としてVICEやGQ、Playboyなどの媒体で作品を発表し続け、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ホイットニー美術館など世界各国で50以上の個展が開催されている。
本展は、デビュー以来一貫して撮り続けてきた女性のポートレート作品に焦点を当てながら、写真家としてのリチャード・カーンの変遷を辿る。時代やシリーズによって撮影方法などを大きく変えてきたカーンの作品は、作品の質感や、女性モデルの表情、雰囲気もバラエティに富んでいる。デビュー時のTransgression時代の作品から現在まで50点以上の作品を通じて、カーンと時代の変遷を同時に体験することができるだろう。
Richard Kern photo exhibition 「Transcending Transgression」
会期:10月20日(金)~ 10月29日(日)
会場:GALLERY X BY PARCO(東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO B1F)
時間:11:00 ~ 21:00(入場は30分前まで)
5. DESIGNART TOKYO 2023(東京都内各地)
今年は83会場に拡大、日本最大級のデザイン&アートの祭典
東京都内各地で繰り広げられる、日本最大級のデザイン&アートフェスティバル。7年目となる今年は東京駅周辺エリアにも開催地が広がり、過去最大の83会場、108展示となった。「Sparks 〜思考の解放〜」をテーマに掲げ、ギャラリーや美術館、インテリア・アパレル店舗などでデザイン、アート、インテリア、ファッションなどの多彩なプレゼンテーションが行われる。
オフィシャルエキシビジョンとなるワールド北青山ビルでは、アジア太平洋地域のデザインに特化したメディア「Design Anthology」の編集長Suzy Annettaが選んだ、アジアを代表するデザイナーへと成長が期待される作家のファニチャーなどを展示する。また、東京ミッドタウン六本木では、「いざなうデザイン –Draw the Future-」と題して、有村大治郎・コエダ小林・時岡翔太郎の3名によるデザインスタジオ21B STUDIO(UNDER 30)が、オフセット印刷機の廃インク清掃で使用した不織布を新たな素材として捉え、その可能性を見出すべく取り組むプロジェクトを発表するほか、守本悠一郎が周囲の光を集めることで実現した、電力を使わない照明《NISSHOKU》を展示する。
DESIGNART TOKYO 2023
会期:10月20日(金)~ 10月29日(日)
会場:ワールド北青山ビル(東京都港区北青山3-5-10)ほか東京都内各地(表参道、外苑前、原宿、渋谷、六本木、広尾、銀座エリアなど)
時間:10:00 ~ 18:00※会場により異なる