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ボッティチェリが4550万ドルで落札、3月の出品作はマグリット、モネ、ピカソ~1月のオークション情報まとめ

これから毎月、月初に、ARTnewsが前月に報じたオークションに関する記事から抜粋して情報をお届けする。今回は早速、2022年1月の記事から。今年も、著名アーティストの高額作品が次々とオークションに登場しそうだ。1月27日のサザビーズNYの古典作品のセールでは、ボッティチェリ、ジェンティレスキ、ゴヤなどが計9100万ドルの売り上げを計上、幸先の良い新年のスタートを切った。3月のセールには、マグリット、モネ、フロイド、ピカソらの作品がサザビーズやクリスティーズで出品される。予想落札価格は6000万~2000万ドルと見込まれている。

ルネ・マグリット《L’empire des lumières(光の帝国)》(1961)

マグリットがパトロンのために描いた絵、最低落札価格6000万ドルで登場

3月2日、サザビーズ・ロンドンのイブニングセールにルネ・マグリットの《光の帝国》(1961)が登場する。最低価格保証つきの4500万ポンド(6000万ドル)で競売に掛けられ、マグリットの過去最高価格をたたき出すことはほぼ確実という。この作品は、マグリットが、パトロンの一人だったフランスの弁護士の娘のために描いたもの。彼女は後にマグリットの絵のモデルも務めた。

マグリットは近年、人気上昇中のアーティストの一人だ。これまでの最高額は2018年にサザビーズで落札された《Le Principe du Plaisir》(1937)の2680万ドルだった。セールス前の作品の一般公開は、ロサンゼルス、ニューヨーク、香港を経て、ロンドンで実施される。

※この記事は、米国版ARTnewsに2022年1月11日に掲載されました。元記事はこちら

モネの干し草や水辺の作品、5点で計5000万ドルにも

コロナ禍になって以来、クロード・モネの需要は高まっているそうだ。3月2日のサザビーズ・ロンドンの近現代美術のイブニングセールには、モネの5作品が登場し、計3500万ポンド(5000万ドル)で落札されると予測される。

最も注目されるのは、睡蓮(すいれん)のシリーズと同時期に描かれた菊の絵《Massif de chrysanthèmes》(1897年、落札予想価格は1360万~2000万ドル)と、干し草の山を描いた《Les Demoiselles de Giverny》(1892~93年、同2000万~2700万ドル)だ。前者は2004年に、後者は2012年に、現在のコレクターの手に渡っていた。他は、冬のセーヌ川を描いた《Glaçons, environs de Bennecourt》(1892~93年、同680万~950万ドル)、ノルマンディー海岸に題を取った《Sur la falaise près de Dieppe, soleil couchant》(1897年、同480万~680万ドル)、鉢入りの果物を描いた静物画《Prunes et Abricots》(1882~85年、同160万~250万ドル)。

これらはロンドンでのオークションに先立って、ニューヨーク、香港、台北のサザビーズで一般公開される。

※この記事は、米国版ARTnewsに2022年1月19日に掲載されました。元記事はこちら

クリスティーズ、上海で3月1日にオークションを開催、ピカソなど出品

サザビーズ、フィリップスらオークションハウスのうち、中国本土で唯一、ライブオークションを開くことが認められているのがクリスティーズだ。中国はいま、アート市場で、米国、英国に次ぐ世界第3位を誇る。クリスティーズにとって、中国での優位は多大なメリットと言える。

そのクリスティーズは3月のロンドンでの近現代美術イブニングセールを、中国・上海でも開催するように変更した。「20/21世紀 上海からロンドンへ」と題して、3月1日に上海で、その後、ロンドンで開催する。このセールには、パブロ・ピカソが、初期にミューズ(美神)だったマリー=テレーズ・ウォルターを描いた《La fenêtre ouverte》(1929年)が目玉商品として登場する。50年間今のコレクターが所有していたもので、落札予想価格は1400万~2400万ポンド(1900万~3250万ドル)。セールには他に、ジャン=ミシェル・バスキア、キース・ヴァン・ドンゲン、マルク・シャガール、ルネ・マグリット、ブリジット・ライリーらの作品も出品される予定だ。

※この記事は、米国版ARTnewsに2022年1月21日に掲載されました。元記事はこちら

ルシアン・フロイドの女性ヌードがクリスティーズ・ロンドンに登場

女性ヌードが最近、高値を付けているルシアン・フロイド。3月1日には、クリスティーズ・ロンドンに、元恋人で彼にとってのミューズだったフードライターのジャニー・ロングマンの肖像画が登場する。この作品は今回が初オークションで、落札予想額は1340万ドル~2000万ドル。 《Girl with Eyes Closed》(1986~87)と題されたこの作品は、1987年に英国のコレクターが購入していた。フロイドは今年が生誕100周年。

※この記事は、米国版ARTnewsに2022年1月27日に掲載されました。元記事はこちら

フランツ・マルク、ロンドンと上海に登場、作家の過去最高値を更新見込み

第一次世界大戦前に描かれたドイツ表現主義の画家、フランツ・マルクの作品が3月1日、ロンドンと上海でのクリスティーズの近現代美術セールに登場する。この絵は《DieFüchse(狐たち)》(1913)で、第三者保証付き。予想落札価格は約3500万ポンド(4680万ドル)に上る。マルクの作品としては、サザビーズ・ロンドンで2008年に出した2420万ドルの記録(《Weidende Pferde III》〈1910〉)のほぼ2倍に当たる。

この絵画はもともと、ユダヤ人の銀行家が所有していたが、ナチスを逃れて国外逃亡するために手放していた。最近になって、ドイツの美術館から元の所有者の相続人に返還されていた。2月には上海とロンドンで一般公開もされる。

※この記事は、米国版ARTnewsに2022年1月28日に掲載されました。元記事はこちら

ボッティチェリ、4550万ドルでサザビーズNYで落札される、過去2番目の高額取引

サザビーズ・ニューヨークでのオールドマスターのオークションで1月27日、サンドロ・ボッティチェリの《悲しみの人》(1500年頃)が4,550万ドルで落札された。イタリア・ルネサンス期の画家であるボッティチェリの作品としては、過去2番目の高額落札となった。

ボッティチェリの作品が市場に出ることはまれで、個人蔵はほんの一握りだ。米国人のコレクションから出品された今作は、1963年にオークションで1万ポンドで落札されて以来、市場に出ていなかった。フランクフルトのシュテーデル美術館での特別展で2009年に一度だけ公開されていた。

※この記事は、米国版ARTnewsに2022年1月27日に掲載されました。元記事はこちら

ジェンティレスキ、予想落札価格を上回って落札される、サザビーズNY

サザビーズ・ニューヨークのオールドマスターセールが1月27日に開催され、17世紀のイタリア人女性画家アルテミジア・ジェンティレスキによる肖像画2点が、それぞれ予想価格を上回って落札された。

一つは、《Portrait of a seated lady, three-quarter length, in an elaborate and gold-embroidered costume, possibly Caterina Savelli, Principessa di Albano (精緻〈せいち〉な金糸の刺繍〈ししゅう〉の七分袖丈の衣装で座る貴婦人、おそらくはアルバノ王女カテリーナ・サヴェッリの肖像画)》(1620)で、270万ドル(予想価格は200万ドル)で落札された。もう一つは聖書の場面を描いた《Susanna and the Elders(スザンナと長老たち)》(1638年頃)で、210万ドル(同180万ドル)で落札された。二つとも、投資家のサフラ氏が1990年代に購入していた。

また、フランシスコ・ゴヤの《Portrait of the Marquis de Cabellero…Order of Santiago(カベレロ侯爵の肖像…サンティアゴ騎士団)》(1807)は、220万ドルで販売された。落札予想価格​​40万ドルの5倍以上だった。

同日のセールは、ボッティチェリが好調な数字をたたき出した一方、セール全体では昨年同時期の販売総額1億1450万ドル(手数料込み)を大幅に下回った。事前の想定金額内に収まる落札額7600万ドル(手数料込みで9100万ドル)という結果に終わった。

※この記事は、米国版ARTnewsに2022年1月27日に掲載されました。元記事はこちら

※関連記事が、米国版ARTnewsに2022年1月25日に掲載されました。元記事はこちら

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