パトリシア・ピアソン=ヴェルゲス、フアン・ヴェルゲス(Patricia Pearson-Vergez and Juan Vergez)
拠点:アルゼンチン・ブエノスアイレス
職業:医薬品製造
収集分野:近現代アート、アルゼンチン美術
製薬業界で名を成した実業家、フアン・ヴェルゲスと妻のパトリシア・ピアソン=ヴェルゲスは、アルゼンチンのアートシーンや南北アメリカにおける主要なアートフェアの中心的存在だ。2人はブエノスアイレスのインク工場跡をアートスペースにリノベーションし、過去25年以上にわたって収集した近現代アートやラテンアメリカ美術の作品を展示。また、これまでに何人ものアルゼンチン人アーティストを支援している。
ヴェルゲス夫妻のコレクションには、マーティン・クリード、ホルヘ・パルド、アナ・メンディエタ、トマス・サラセーノの作品に加え、モニカ・ソスノフスカ、エルネスト・ネト、エルムグリーン&ドラッグセット、オラファー・エリアソンといった世界的アーティストが並ぶ。以前フアン・ヴェルゲスは、アートバーゼルのために収録されたビデオインタビューで「いい作品に出会うと、幸せな気持ちとドキドキするような一種の緊張感で心が震える」と語っている。
夫妻がブエノスアイレスのサン・テルモ地区にある元インク工場を購入し、エスパシオ・タクアリをオープンしたのは2016年。現在は、スケールの大きな作品の常設展示スペースとして運営されている。「展示のためのスペースを気にせずに、どんなサイズの作品でも好きなものを買えるようになった」とヴェルゲスは説明する。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事によると、夫妻はある年のアート・バーゼル・マイアミ・ビーチで、アルゼンチン人アーティスト、トマス・サラセーノによる2万7000ドル(約400万円)の作品が気に入った。それは、いくつもの泡のような透明の球体が雲のように固まった大ぶりの立体作品だったが、それを購入する代わりに、このシリーズの作品を「倍の大きさ」で制作するよう依頼したという。