200億円超の文化予算削減案がベルリン上院で可決。「民主主義の弱体化につながる」と美術館は批判
ベルリンが11月下旬に緊縮財政の一環として発表した約207億円の文化予算の削減案が、ベルリン市議会上院で可決された。これを受け、美術関係者から抗議の声が相次いで上がっており、ベルリン市内にある現代美術館4館は予算削減によって長期的な文化の貧困につながると警鐘を鳴らしている。
2024年のベルリンの文化予算を1億3000万ユーロ(約207億円)削減することが上院で決定されたことを受け、市内の芸術関係者らは市議会に対して非難の声を上げている。美術館や市内を拠点に活動するアーティストにとって生命線とも言える来年度の芸術予算が大幅に削減されることが決定したことで、アートシーンは大きな打撃を受け、一部の芸術機関には長期的な影響が及ぶことが推測されている。
こうしたなか、12月5日にクンストヴェルケ現代美術センター、ノイエ・ベルリナー・クンストフェライン(nbk)、ノイエ・ゲゼルシャフト・フュア・ビルデンデ・クンス(nGbk)、そしてベタニア芸術センターの4館が次のような声明を共同で発表している。
「文化という重要なインフラが解体され、州と国からの資金が同時に削減されるという脅威に私たちは直面している。これは、ベルリンにおける長期的な文化の貧困につながるドミノ効果を引き起こし、これまで以上に、収入に関係なく文化を享受できなくなるに違いない」
これに加えて、予算が削減されることで、ベルリンの重要なアート施設で展示できるものが劇的に変化する可能性があると声明には記されており、こう続く。
「予算削減によって民主主義は弱体化する。文化は教育であると同時に啓蒙活動の一種であり、多様性を称える存在でもある。文化は社会の結束を強め、ゼノフォビア(外国人嫌悪)に抵抗し、経済を牽引する。文化への資金援助は、貿易、サービス、観光といった形で直接的に都市に再投資されるのだ」
文化関連の予算がベルリン市の予算全体の2%強を占めていることを考えると、今回の削減は不当であるという意見もある。ベルリン博物館協会は先週、特に資金繰りに苦しむ小規模な施設にとっては、これは「耐え難い負担」であると述べた。同協会は声明の中で、解雇や大幅なプログラム縮小など、暗い未来の展望を示した。
ドイツの高官たちも可決された予算削減案に対して疑問を抱いており、今回の削減は「非常に過激で残忍である」とベルリンの文化大臣であるジョー・チャロは述べ、削減案を考え直す方法を見つけると語った。(翻訳:編集部)
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