ベルリンが200億円超の文化予算削減を発表。「芸術インフラが崩壊する」と関係者らは猛抗議
ベルリンが緊縮財政の一環として文化予算を約207億円削減すると発表した。芸術関係者らは、市の全体予算のわずか2.5%にあたる文化予算をさらに削減することは不当であり、一部の文化施設は閉鎖や大量解雇に追い込まれる可能性があると抗議している。
ベルリン市が、市の文化予算を1億3000万ユーロ(約207億円)削減する計画であることがわかった。これに対して市内の芸術関係者らは、文化施設の閉鎖や大量解雇につながる可能性があると指摘するとともに、長期的にはベルリンの芸術インフラが崩壊するとの見解を示している。
ガーディアン紙によれば、美術館や劇場、コンサートホールなどを含む、公的資金で運営される市内450以上の文化施設は、「#BerlinistKultur(ベルリンは文化の街だ)」というスローガンのもと、この削減方針に抗議している。11月29日にはネプチューンの泉からブランデンブルク門にかけてデモ行進が行われる予定だ。
ベルリンには、約170の美術館・博物館と400以上のギャラリーがあるが、一部施設にはすでに暗雲が立ちこめており、その一つが現代アート施設のシンケル・パヴィリオンだ。同館は助成金の50%を失うことが予測されており、閉鎖に追い込まれる可能性がある。
また、シャウビューネ劇場や劇団のベルリナー・アンサンブルはこの予算削減に備え、後者は2025年の演目をすべて中止しており、シャウビューネ劇場は破産の見通し。劇場はまた、従業員に対する賃上げの約束は反故せざるを得ないとしている。
同市ではより広範な緊縮財政の一環として、2025年と2026年の文化予算を1億1000万ユーロから1億5000万ユーロ(約176億〜256億円)削減する計画だ。ドイツの芸術関係者は、この措置によって美術工房の3分の1が閉鎖を余儀なくされ、展覧会や公共芸術、そして芸術教育プログラムへの資金や資源が削減されると抗議している。
今回の予算削減は、ベルリン市が2年前に打ち出した、市の芸術文化予算を9億4700万ユーロ(約1514億円)に増額するという計画の真逆の措置だ。当時、ベルリンの文化大臣ジョー・チャロは、2025年までにその数字をさらに引き上げ、来年度のベルリンの年間予算を10億ユーロ(約1600億円)にすると公約していた。
ドイツのビジュアルアーティスト3000人が所属する非営利団体「bbk berlin」は声明を発表し、今回の予算削減案は、そもそも予算規模が最も小さく、全体予算のわずか2.5%にすぎない芸術文化への不当な攻撃であり、度を超えていると猛抗議している。同団体はまた、この予算削減によって約300の制作スタジオが閉鎖に追い込まれる可能性があり、市立ギャラリーの展覧会予算の10%が削減されると指摘している。(翻訳:編集部)
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