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今週末に見たいアートイベントTOP5: 奈良美智が北海道で制作した新作ドローイングを披露。専用端末でノートルダム大聖堂を時間旅行!

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

Installation view of “Big and Little hands” (2024) by Vajiko Chachkhiani, at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Kei Miyajima. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.

1. ヴァジコ・チャッキアーニ 「Big and Little hands」(SCAI THE BATHHOUSE)

Installation view of “Big and Little hands” (2024) by Vajiko Chachkhiani, at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Kei Miyajima. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.
Installation view of “Big and Little hands” (2024) by Vajiko Chachkhiani, at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Kei Miyajima. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.
Installation view of “Big and Little hands” (2024) by Vajiko Chachkhiani, at SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo. Photo by Kei Miyajima. Courtesy the artist and SCAI THE BATHHOUSE.

彫刻と映像が編み出す象徴的な物語

ジョージア出身の現代美術家ヴァジコ・チャッキアーニのSCAI THE BATHHOUSEでの2度目の個展。本展のためにリサーチ、制作に取り組んだ新作の彫刻作品群、および映像作品を展示する。歴史と自然、不在と存在、あるいは家族と経済といった二項対立的な構造、およびそれらによって生じる矛盾といったチャッキアーニの制作活動における中心的な関心を、独自の手法で作品に落とし込んでいる。

新作の映像作品《Big and Littles hands》(2024)は、ジョージアの詩人ギャラクシオン・タビゼの詩から着想を得ている。生と死の弁証法と作家が呼ぶ試みは、資本主義経済、政治、およびそれらが人間に及ぼす不安定さといった諸々のテーマを、象徴的な表現形式とともに描き出している。

ヴァジコ・チャッキアーニ「Big and Little hands」
会期:11月6日(水)〜12月21日(土)
場所:SCAI THE BATHHOUSE(東京都台東区谷中 6-1-23 )
時間:12:00〜18:00
休館日:日月祝


2. パリ・ノートルダム大聖堂展 タブレットを手に巡る時空の旅(日本科学未来館)

©パリ・ノートルダム大聖堂展 製作委員会
ナポレオンの戴冠式の様⼦(HistoPad画⾯)
©パリ・ノートルダム大聖堂展 製作委員会
©パリ・ノートルダム大聖堂展 製作委員会

タブレットでノートルダム大聖堂を時間旅行

専用タブレット端末「HistoPad(ヒストパッド)」を使って、パリにある世界遺産・ノートルダム大聖堂の創建時から現代までをタイムトラベルする体験型の展覧会。大聖堂は重要な修復作業の一部を終え、12月8日から一般公開を開始している。

観賞者は会場を歩き回りながら、1160年頃の建設時の様子やナポレオン1世の戴冠式、2019年に起こった火災の修復作業の様子をデジタルコンテンツで体験し、まるで大聖堂の中にいるような没入感を味わいながら、歴史の旅を満喫する。世界遺産の歴史と、最新技術によって大聖堂が再び光を取り戻していく様子を体験しながら、文化財保護の大切さを身近に感じることができる。

パリ・ノートルダム大聖堂展 タブレットを手に巡る時空の旅
会期:11月6日(水)〜2025年2月24日(月・休)
場所:日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)
時間:10:00〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:火曜(2月11日は除く、12月28日~1月1日)


3. 奈良美智「I Draw the Line」(BLUM 東京)

I Draw the Line, Installation view, Tokyo, 2024, Photo: Keizo Kioku
I Draw the Line, Installation view, Tokyo, 2024, Photo: Keizo Kioku
I Draw the Line, Installation view, Tokyo, 2024, Photo: Keizo Kioku
I Draw the Line, Installation view, Tokyo, 2024, Photo: Keizo Kioku

奈良美智が北海道の自然を描いた新作を披露

奈良美智のBLUMでの9回目の個展。本展の作品の多くは、今年初めに描いたスケッチに基づいた、新作のペインティングとドローイングで構成されている。これらの作品は小さなノート用紙に黒いマーカーペンで描いた太くシンプルな輪郭を、プロジェクターで木の上に拡大して描かれた。そのことで、絵画であってもドローイングの持つスピード感や流動的で力強い描写を表現することが出来る。

また、ドローイングは、奈良が北海道南部の村である洞爺に夏に滞在していた間に描かれている。海、山、火山は地元の土地に深く根ざした奈良の思いと環境への懸念を反映しており、狼のような目出し帽をかぶった少女や、猫の目と牙がある子どもの顔は土着の民間伝承を反映している。これらの直接的でインパクトがある作品は、故郷である北日本の地域で彼の中に湧き上がる感性と感情も表現する。

奈良美智「I Draw the Line」
会期:11月7日(木)〜2025年1月18日(土)
場所: BLUM 東京(東京都渋谷区神宮前1-14-34)
時間:12:00~18:00
休館日:日月祝、12月22日〜1月6日


4. そこに光が降りてくる 青木野枝 / 三嶋りつ惠(東京都庭園美術館)

青木野枝《微塵》2020年 gallery21yo-j (東京)展示風景 ©Noe Aoki, courtesy of ANOMALY (撮影:山本糾)
三嶋りつ惠《VENERE》2023年 UESHIMA MUSEUM COLLECTION (撮影:Francesco Barasciutti)

鉄とガラスが描く光の表情

アーティスト、青木野枝は重い素材とされる鉄に向き合い、鉄を溶断する時にあらわれる内部の「透明な光」から様々なインスピレーションを得ている。三嶋りつ惠は身の周りに溢れる光の表情に心を寄せて、自身のガラス作品を通して「光の輪郭」を描き出そうと試みてきた。光に対する意識や向き合い方は異なる2人の、光に思いを馳せて生み出された作品が陰影に富んだ空間に広がる。

本展は2人が当館の各所に作品を配置し、新たな視点でアール・デコの装飾空間を照らし出す。新作が公開されるほか、本展用に収録した作家インタビューや、作家が撮影した写真イメージ、制作工程が分かる映像や資料も併せて紹介する。

そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠
会期:11月30日(土)〜 2025年2月16日(日)
場所:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
時間:10:00〜18:00(入館は30分前まで)
休館日:月曜、12月28日〜1月4日


5. Intimité: A Cross-Continental Dialogue Between Japan and Senegal(space Un)

展示風景。Photo: Yoshi-Vision
展示風景。Photo: Yoshi-Vision
ダカールでの制作風景。 Photo: Lamine Diack
吉野レジデンシーの制作風景。
Photo: Kiyoshi Nishioka

日本とセネガルをつなぐ共同企画

セネガル人アーティスト、セリーニュ・ンバイェ・カマラと日本人アーティスト半澤友美による初の共同展覧会。カマラは、space Unの吉野レジデンシープログラムに2週間参加し作品を制作。また、半澤は2024年10月にセネガル・ダカールにレジデンスで滞在した。

本展のキュレーターは黒人文明博物館の事務総長のアドバイザーを務めるウセイヌ・ワッド 、共同キュレーターはセネガルのアーティスト、ギャラリーオーナーであるアイッサ・ディオーヌが手がける。異なる大陸で生まれ育った2人のアーティストが繊細かつ力強い創造的な対話を繰り広げ、文化を超えた対話を通じてアートの持つ無限の可能性と結びつきの力を提示する。

Intimité: A Cross-Continental Dialogue Between Japan and Senegal 
会期:12月7日(土)〜 2025年3月2日(日)
場所:space Un(東京都港区南青山2-4-9)
時間:12:00〜19:00
休館日:月火

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