スコットランドの美術館でロダン彫刻の紛失が判明。珍しいことではない!?
英紙ガーディアンによると、フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの作品がグラスゴー美術館から1世紀以上も行方不明になっている。ロダンの彫像が美術館の収蔵庫から消えたのは、今回が初めてではない。
ロダン委員会によると、今回行方不明になった彫刻は、ロダンの《カレーの市民》に登場する6人のうちの1人、ジャン・デアールの石膏像で、全長6.5フィート(約1メートル98センチ)になるという。グラスゴー美術館は1901年にこの作品をロダン自身から購入し、1949年6月25日から9月30日まで、この彫像はウエストエンドにあるケルヴィングローブ公園に展示された。
同委員会のジェローム・ル・ブレイ事務局長は、像の所在が不明であることは 「遺憾であるが、(この状況を)時代の文脈の中で考えなければならない 」とAFP通信に語った。
ル・ブレイによれば、石膏作品は「1940年代にはあまり関心を持たれていなかった」そうで、ジャン・デアールの彫像は、同時期にケルヴィングローブ公園に展示されていたロダン作の洗礼者ヨハネ像と同じ運命をたどったと考えられている。現在その像は破損され、残骸のみがグラスゴー美術館の収蔵庫に保管されている。
現在、この像は約300万ポンド(約5億4600万円)の価値があるという。ロダンの《カレーの市民》の石膏像とブロンズ像は、ニューヨークのメトロポリタン美術館を筆頭に、世界中で展示されている。
美術館の所蔵品からロダンの作品が消えることは、それほど珍しいことではない。タイムズ・オブ・ロンドン紙の報道によれば、このロダンの紛失は、スコットランドの美術館から紛失した1750点近い作品のひとつに過ぎないという。(翻訳:編集部)
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