ベルルスコーニ元首相が遺したアートコレクションはほぼ無価値⁉ 深夜番組のオークションで作品を購入していた
2023年6月に死去したイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ元首相が遺した美術品コレクションを、イタリアを代表する美術評論家ヴィットリオ・スガルビが鑑定。その結果ほとんどが無価値とみなされたと、BBCが10月19日に報じた。
60億ユーロ(約9500億円)の純資産を持つベルルスコーニは、絵画や彫刻の多くを、深夜にテレビで放送されていたオークションで購入していた。
美術評論家のスガルビによると、コレクションのうち、聖母像、裸婦、ヨーロッパの街並みなど、なんと2万5000点もの絵画が、ほとんど価値のない質の悪いもので、芸術的価値があるのはわずか6、7点だけだという。
コレクションの総額は推定2000万ユーロ(約31億7500万円)。1点あたりの平均価格は約800ユーロ(約12万7000円)だ。
ベルルスコーニが亡くなって以来、彼の子孫はイタリア・ミラノ郊外の邸宅の近くにある3万4400平方フィート(3195平方メートル)の倉庫に保管されているコレクションの管理に苦労している。維持費だけでも年間80万ユーロ(約1億2700万円)近くかかるためだ。
さらに、コレクションの一部は虫食いがあり、駆除費用が作品の価値を上回るケースもある。
しかし、ベルルスコーニはルネサンス期の画家ティツィアーノやオランダの巨匠レンブラントの作品など、質の高い絵画も所有しており、それらは彼の本邸で保存されていた。
ベルルスコーニと30年にわたり密接に仕事をしたロンドン在住の美術商チェーザレ・ランプロンティは、ベルルスコーニの買い方が衝動的であったことを指摘し、「彼は自分が買っているものが無価値であることを知っていました」と付け加えた。(翻訳:編集部)
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