バンクシーのあの話題作が2度目の改題! その意図とは?
サザビーズのオークション現場で裁断機にかけられた、バンクシーの有名な作品《愛はゴミ箱の中に》が改題されていたことが分かった。
2018年10月、サザビーズ・ロンドンのオークションに出品されたバンクシー《風船を持つ少女》(2006)は、104万ポンド(現在の為替で1億9500万円)で落札のハンマーが下ろされた瞬間に、額に仕込まれたシュレッダーが作動し、下半分が裁断された。その後、バンクシーの版権を管理するペスト・コントロール社は、この作品名を《愛はゴミ箱の中に》に変更し、制作年を2018年にすると発表。落札者は購入を承諾し、オークションの翌週に新たな鑑定書が発行された。
そして2021年10月、サザビーズ・ロンドンに《愛はゴミ箱の中に》(2018)は再び出品され、バンクシーの史上最高額となる1850万ポンド(手数料込み、現在の為替で約34億8000万円)でアジアのコレクターに落札された。
韓国・仁川のパラダイスシティ内にあるパラダイス・アート・スペースで、2023年9月5日から11月5日まで開催された「LOVE IN PARADISE : BANKSY & KEITH HARING」展で、《愛はゴミ箱の中に》が展示されることになり、同展に協力していたサザビーズがペスト・コントロール社に連絡を取ったところ、作品名と制作年が変更されていたことが発覚した。新名称は《風船を持たない少女(Girl Without Balloon)》で、制作年は2021年だという。アートニュースペーパーによると、その時、ペスト・コントロール社は変更理由を明かさなかった。新たな鑑定書が作成されたかどうかも不明だ。
サザビーズ・アジアのプライベート・セールス・ディレクター、ニック・バックリー・ウッドは、バンクシーの作品名変更について、「物理的に作品は1つですが、タイトルを変更したということは、作家の中で作品の存在位置が変わったことを意味します」とアートニュースペーパーに語っている。(翻訳:編集部)
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