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ガザでパレスチナ人を受け入れてきた由緒あるギリシャ正教会が空爆で損壊。犠牲者多数のおそれ

世界で最も早い時期にできた教会の1つ、ガザの聖ポルフィリウス教会が10月19日夜の空爆で損壊し、避難していた少なくとも16人のパレスチナ人が死亡したとガザ地区の当局が発表した。

ガザにある聖ポルフィリウス教会で礼拝するパレスチナ人キリスト教徒(2008年撮影)。Photo: Ahmed Hjazy/Pacific Press/LightRocket via Getty Images

ワシントン・ポスト紙によると、建物の瓦礫の中でパレスチナの人々が被害者の捜索を行なっている動画の分析から、損壊した場所が特定された。

エルサレムのギリシャ正教総主教庁は、これをイスラエルの攻撃によるものと非難した。イスラエル国防軍はワシントン・ポスト紙の取材に対し、イスラム組織ハマスの隠れ家とされる場所を狙ったミサイルによって「近くの教会の壁が破損した。犠牲者の報告があることは承知している」と回答。イスラエル側は、この件については「調査中」だとしている。

聖ポルフィリウス教会は5世紀に創建され、現在の建物は12世紀に完成した。その名前はガザの司教を務めた聖ポルフィリウスに由来し、聖ポルフィリウスが420年に没した場所に建てられたと伝えられる。11世紀末〜12世紀末の初期十字軍の時代から残る他の建造物同様、内部には華麗な装飾が施され、分厚い城壁で囲われていた。

同教会は、ガザでは少数派であるキリスト教の信者と、イスラム教信者双方の避難所として長年機能してきた。ロイター通信によると、2014年のイスラエルによるガザ侵攻の際には、イスラエルの砲撃を逃れた約1000人のイスラム教徒のパレスチナ人を受け入れたという。19日の爆撃時、ここに避難していたパレスチナ人は数百人におよぶ。

聖ポルフィリウス教会の関連修道会である聖ジョージ修道院が20日に発表した声明では、「アレクシオス大司教の居場所は分かっているが、負傷しているかどうかは未確認」とされている。また、「避難者が寝ていた2つの建物が直撃された。その中には子どもや赤ちゃんもいた」と教会の広報担当者は述べている。(翻訳:石井佳子)

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