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モロッコ首都近郊のネクロポリスで新たな遺跡を発見。ポンペイの5倍にもなる港湾都市

モロッコの首都ラバト近郊にあると考えられてきた古代の港湾都市が、モロッコ国立考古学・文化遺産研究所の研究者らによって特定された。

2023年、モロッコのラバト近くのシェラで最近発掘された考古学的遺跡。Photo: AFP via Getty Images

モロッコ国立考古学・文化遺産研究所の研究者たちの発表によると、この港湾都市の遺跡は、ユネスコの世界遺産に「ラバト:近代的首都と歴史的都市が共存する遺産」として登録されているモロッコ首都にある、約3平方キロメートルにも及ぶ古代ローマの要塞化されたネクロポリス、シェラで発見された。イタリアのポンペイの5倍近い大きさで、モロッコは将来、この遺跡を観光資源にしたい考えだ。この港湾都市の近くでは、これまでに温泉施設や労働者階級の居住区が見つかっている。

フェニキア人が最初に定住したと考えられているシェラは、2世紀から5世紀にかけてローマ帝国の主要な前哨基地となった。大西洋に近いブー・レグレグ川のほとりに築かれたこのネクロポリスと周辺の集落では、ローマ帝国がこの国に定住する以前の、ネオポエニ語圏の言語で刻まれたレンガが確認されている。

考古学者たちは、パンデミックによる主要発掘現場の閉鎖を経て、今年3月に作業を再開した。それ以来、彼らは遺跡の足跡を広げている。港そのものはまだ発掘されていないが、考古学者たちは、シェラがイタリアの大理石やアフリカの象牙の重要な交易拠点であった可能性が高いと見ている。

最近の発掘では、1960年代以降モロッコで初めて発見された、神か皇后と思われる布をまとった女性の像や、石灰岩とサンブリックでできた地区が発見された。

モロッコの青少年・文化・通信省は、今年発掘を開始して以来、45万5000ユーロ(約7300万円)を投資しており、来年以降、発掘が終わるまで倍増する計画だという。

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