コレクター垂涎のエラー切手「逆さまジェニー」が約3億8000万円で落札。アメリカ史上最高額の切手に
切手収集家の間で有名なエラー切手「逆さまジェニー(Inverted Jenny)」が、11月8日、ニューヨークで行われたオークションで、手数料込みで200万ドル(約3億8000万円)で落札された。これはアメリカの切手1枚の価格の最高記録となる。
「逆さまジェニー(Inverted Jenny)」と呼ばれる赤と青で刷られた24セント切手は、切手収集家の間でよく知られる「エラー切手」だ。1918年、世界初の定期航空便路線を記念した切手を急いで作成せねばならず、米印刷局は、誤って複葉機カーティス・ジェニーのデザインを逆さに印刷してしまった。 画像ミスのあったシートは破棄されたが、100枚一組が24ドルでコレクターに販売された。アメリカ史上最も有名な切手のひとつであり、人気アニメ「シンプソンズ」シーズン5の一場面にも登場している。
「逆さまジェニー」のオークションは、11月8日、ロバート・A・シーゲル・オークション・ギャラリーで行われた。ハンマープライスは170万ドル(約2億5800万円)で、手数料込みで200万ドル(3億7900万円)強となった。
今回の結果について、同オークションのスコット・トレペル社長は声明の中で、「これは切手コレクター界にとって歴史的な瞬間です。今日販売した逆さまジェニーは、100枚の切手の中で最高の作例です。私たちは切手の一枚一枚を追跡調査しましたが、この切手に匹敵する例は他にないと確信しています。コレクターにとって、これ以上のものはなく、200万ドルを超える販売価格はその事実を反映しているでしょう」と語っている。
シーゲル・オークションが今回売却した切手は、2つの専門機関の審査を受け、10~100点満点で95点と評価され、105年前に発行されたときと同じ状態、「Mint Never-Hinged」と格付けされた。
同オークションはこれまでにも、「逆さまジェニー」を2005年に4枚1組で270万ドル(現在の為替で約4億円)、2018年に「Mint Never-Hinged」のコンディションのものを135万ドル(同・約2億円)で販売しており、トレペルはニューヨーク・タイムズ紙に、これまで66枚の「逆さまジェニー」を扱い、そのうちの数枚は1回以上売ったと語っている。会社のロゴにも、この切手の画像が使われている。
2021年6月にサザビーズで行われた、シューズデザイナー、スチュアート・ワイツマンのコレクションを集めた「スリー・トレジャーズ」セールでは、4枚1組の「逆さまジェニー」がさらに高額で売却された。整理用のアルバムに切手を貼り付ける際の糊の跡が、切手の裏側に薄く残る「lightly hinged」のコンディションながら、落札予想価格500万ドルから700万ドル(同・7億5800万円~約10億6000万円)のところ、手数料込みで486万ドル(同・7億3700万円)で落札された。(翻訳:編集部)
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