バチカン美術館、古代ローマの「死者の街」を一般公開。奴隷、自由民、職人の遺骨を収めるネクロポリス
11月17日、バチカンの地下にある古代ローマの埋葬地、トリオンファーレ通りのネクロポリスに入るための門が城壁沿いに開かれた。この墓所は、紀元1世紀から4世紀のものと見られている。
バチカン美術館の専門家、レオナルド・ディ・ブラーシがユーロニュースに語ったところによると、この場所には「古代ローマの奴隷、自由民、職人」の遺骨が収められており、中には皇帝ネロが所有していたと判明したものもあるという。また、ポンペイの劇場で舞台装置の管理をしていた人物や、森の整備を任されていた人物の墓も特定されている。
「これまで知られていなかった人々の生活についての研究が進み始めています。特に、公的な宗教以外の、家族や地域など私的な慣習に関係すると思われる儀式についての研究です」と、ディ・ブラーシは付け加えた。
ローマ法では、安全上や衛生上の理由から死者の火葬・埋葬は市外で行うことになっていたため、このネクロポリスは市街地の外側にあった。1956年、バチカンの駐車場の建設中に初めて発見され、その後2003年の駐車場建設中にサンタ・ローザ区画が見つかっている。古代のトリオンファーレ通りの一部に沿ったその敷地は、およそ1000平方メートルに及ぶ。
これまで、このネクロポリスに立ち入ることができるのは、認可を受けた研究者や専門家、一部のガイドツアーなどに制限されていた。一般公開が始まった現在、見学者は聖ローズ門からネクロポリスに入り、「カエサルのローマにおける生と死」展を通して、死者の街を体験することができる。(翻訳:石井佳子)
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