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  • 2024.02.16

今週末に見たいアートイベントTOP5: 幅約9メートル!マティスの大作が初来日、ガブリエル・シャネルを撮った巨匠の大回顧展

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

©The George Hoyningen-Huene Estate Archives

1. いちかわ芸術祭(千葉県立現代産業科学館)

アート×科学技術が生み出す、未知の体験

産業に応用された科学技術を体験的に学べる場、千葉県立現代産業科学館を舞台に、アーティストたちが美術の枠を超えたアプローチを展開する“芸術祭”。大人から子どもまで、アートと科学技術を融合させた作品を体感することができる。アートディレクターを務めるのは、瀬戸内国際芸術祭など各地の芸術祭を中心に作品を発表してきた豊福亮。出展作家は、秋廣誠、大野修平、小阪淳、種子島宇宙芸術祭、千田泰広、千葉工業大学 CIT Brains、千葉商科大学楜沢順研究室×木村麻耶×伊藤美由紀、Kuan-Ju Wu + 開元宏樹 + 筧康明、東北大学平田泰久研究室×Nibroll、宮原はな、渡辺志桜里

欧州で巡回展も行われた世界的ライトアーティストの千田泰広は、屋外にインスタレーション《Brocken 5》を展示する。無機質な⽴⽅体の中に⼊ると、壁や天井に開いた無数の穴から太陽の光が差し込み、違う世界に迷い込んだかのような錯覚を覚える。Kuan-Ju Wu + 開元宏樹 + 筧康明は、暗室内で《Signs of Water》を発表。箱の中の⽔がコンピュータープログラムによって、生命感のある不可思議な動きを⾒せる。小阪淳の、参加型の大型映像展示も。来場者がコントローラーを使い、画面の中の世界を自由に動かす。3⽉3⽇(日)・10⽇(日)の10:00〜16:00、千葉⼯業⼤学 CIT Brains によるロボットサッカーのデモンストレーションがある。

いちかわ芸術祭
会期:1月16日(火)~ 3月10日(日)
会場:千葉県立現代産業科学館(千葉県市川市鬼高1-1-3)
時間: 9:00 ~ 16:30(入場は30分前まで)

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2.  GROUP SHOW: 7 ARTISTS(KOSAKU KANECHIKA)

Tea bowl, 2024 ©Takuro Kuwata, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

桑田卓郎の初公開作品、舘鼻則孝の絵画シリーズなどが集結

同ギャラリーを代表するアーティスト7人のグループ展。青木豊、沖潤子、桑田卓郎、佐藤允、舘鼻則孝、朝長弘人、三輪休雪と、第一線で活躍する作家が名を連ね、層の厚みを見せる。レディー・ガガが履いた「ヒールレスシューズ」の作者として知られる舘鼻則孝は、色素を用いず光の反射によって生じる発色現象「構造色」を発現する《Primary Colors》を出展する。ほかに、青木豊の200号の絵画、佐藤允の新作絵画《初恋2》、朝長弘人の500号の絵などが並ぶ。

絵画以外の作品も見逃せない。古い布をつなぎあわせて刺繍を施す沖潤子は、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館の個展(2022年)でも展示した「蜜と意味」シリーズを紹介する。古布自体が重ねてきた時間や、沖が針を刺した時間といった“時間の物語”をつむぐ。萩焼の十三代 三輪休雪は、代表作「エル キャピタン」シリーズを出品。エル キャピタンとは、アメリカ・ヨセミテ国立公園内にそびえる一枚岩のこと。大胆な形の器は、大自然の生命感をたたえる。同じ陶芸でも異なるアプローチを見せるのは、桑田卓郎だ。独自の造形美とビビッドな色彩で、世界的にも高い評価を得る。今回は未発表の色彩豊かな大型作品を公開する。

GROUP SHOW: 7 ARTISTS
会期: 1月27日(土)~ 2月24日(土)
会場:KOSAKU KANECHIKA(東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F)
時間:11:00 ~ 18:00 


3. 武田龍+大石一貴「HANNAH」(parcel)

Photo Credit: 村田 冬実 (Fuyumi Murata)

気鋭の作家2人がみせるイメージの拡張

武田龍の新作を含む絵画作品と、大石一貴の彫刻とインスタレーションを発表する。1989年生まれの武田と1993年生まれの大石は、ともに彫刻の教育を受けたことや、SF的な想像力や生物学・重力に向ける興味などに多くの共通点があるという。今回2人が展覧会名に選んだのは「HANNAH(ハンナ)」。2017年日本公開のSF映画『メッセージ』に登場する、言語学者の娘の名だ。回文でもある「HANNAH」に両作家が重ねたイメージとは。

武田は、偶発的にできたシミや傷を強調したり隠したりして筆を進めていく制作スタイル。そのプロセスは、象形文字などの古代文字が、ものの形をかたどりつつイメージを変容させ生まれてきた成り立ちと重なりをみせる。フランスの詩人、フランシス・ポンジュに影響を受けたという大石は、これまで詩を取り合わせたインスタレーションなどを発表してきた。今展でもセメントや植物、水粘土を素材に、テクストなどを用いた作品を展開する。会場に隣接するスペース、PARCEL (DDD hotel内1F)では、彫刻家・藤原彩人の個展「Figurative Structures」も開催中(1月27日~3月3日)。

武田龍+大石一貴「HANNAH」
会期: 1月27日(土) ~ 2月25日(日)
会場:parcel(東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル2F)
時間:14:00 ~ 19:00


4. ジョージ ホイニンゲン=ヒューン写真展「Master of Elegant Simplicity」(CHANEL NEXUS HALL)

©The George Hoyningen-Huene Estate Archives

日本初、世界的写真家ホイニンゲン=ヒューンの大回顧展

アート、ファッション、映画の結びつきを写真で表現した先駆的なフォトグラファー、ジョージ ホイニンゲン=ヒューン(1900-1968)の、日本初となる大規模回顧展。「ヴォーグ」や「ハーパーズ バザー」といった有名ファッション誌を中心に活躍し、ハリウッドスターなど著名人のポートレートなども手掛けたホイニンゲン=ヒューンの、代表作と旅先の風景などを撮った約65点を展示する。

画家や建築家らにも影響を受け、アールデコや新古典主義、バロック様式といったさまざまな要素をみせるホイニンゲン=ヒューン。ファッション写真では特に革新的で実験的な作風を発揮し、練られた構図や巧みな照明使いで、モデルのシルエットやファブリックの質感を際立たせた。1920年代初頭のパリで出会ったガブリエル・シャネルと交流を育み、長きに渡ってシャネルのルックも撮影。ガブリエル・シャネルと共通するシンプルでエレガントな感性が、会場内の作品の随所に見て取れる。

ジョージ ホイニンゲン=ヒューン写真展「Master of Elegant Simplicity」
会期:2月7日(水)~ 3月31日(日)
会場:CHANEL NEXUS HALL(東京都中央区銀座3-5-3シャネル銀座ビルディング4F)
時間:11:00 ~ 19:00  (入場は30分前まで)


5.  マティス 自由なフォルム(国立新美術館)

ニース市マティス美術館展示風景 2022 年 ©Succession H. Matisse pour l’œuvre de Matisse Photo: François Fernandez

4.1メートル×8.7メートルの大作《花と果実》が初来日。マティスが晩年に到達した「切り紙絵」

巨匠アンリ・マティス(1869-1954)の、芸術家人生の集大成ともいえる「切り紙絵」にフィーチャーした展覧会。貴重なコレクションを所蔵するフランス・ニース市マティス美術館から、150点以上の作品や愛蔵品などが来日する。今回の目玉はなんといっても、現地美術館のメインホールを飾る4.1メートル×8.7メートルの大作《花と果実》だ。本展のために修復され、日本初公開される。フォーヴィスム(野獣派)や光に満ちた作品表現を経た晩年、筆とカンヴァスを紙とハサミに替え、精力的に取り組んだ切り紙絵。巨匠がたどり着いた“軽快で自由なフォルム”を目の当たりにする。

タペストリーのように装飾的な豊かさをみせる《花と果実》。5枚のカンヴァスがつなげられ、鮮やかな色彩と図柄が反復する。マティスは、色紙をハサミで切り取ることで色彩表現とデッサンを同時に行い、切り紙を組み合わせることで生き生きとした構図を生み出した。そんな切り紙絵を応用したのが、ニース郊外のヴァンスに建つロザリオ礼拝堂だ。建築の室内装飾や司祭服を、マティスがデザインしている。今展では、展示室内にこの礼拝堂を体感できる空間を再現する。ほかに、踊り子の躍動感を曲線の切り紙で表現した《クレオールの踊り子》や本展のメインビジュアルに採用された《ブルー・ヌード IV》なども見逃せない。

マティス 自由なフォルム
会期: 2月14日(水)~ 5月27日(月)
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
時間:10:00 ~ 18:00  (金曜と土曜は20:00まで、入場は30分前まで)

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