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「恥ずべき税金の無駄遣い」──15億円を投じたチャールズ国王の肖像画に国民が激怒

イギリス政府は約15億円の予算をかけ、学校、消防署、地方議会、裁判所など国内全ての公共機関にチャールズ3世の公式肖像画を無料配布することを決定。国民はその「無駄遣い」を批判している。

ヒューゴ・バーナンドが2023年にウィンザー城で撮影した、チャールズ3世の肖像画。Photo: Hugo Burnand/Royal Household 2024/Cabinet Office/PA

チャールズ3世の肖像画は、写真家のヒューゴ・バーナンドが2023年にウィンザー城で撮影したもの。国王はメダルと勲章を身に着けた艦隊提督の制服姿だ。

今回の肖像画プロジェクトは、裁判所、学校、議会などの公共機関がオーク材の額に入ったこの肖像画の複製を無料で請求できる。2月2日が申し込みの締切だったが、内閣府の広報担当者がアートニュースペーパーに語ったところによると、「町、教区、コミュニティ協議会、国防省が後援する士官候補生部隊」を含む追加組織については、期限が延長されたという。

しかし、2023年4月にこのプロジェクトが発表されると、800万ポンド(約15億円)という予算にソーシャルメディア上で大反発が起きた。ある匿名の教師は、「これほど多くの人々が貧困ラインで生活しているのに、恥ずべきことだ」と投稿し、別の投稿者は国王を「マリー・アントワネット」にたとえて批判した。

内閣府は声明の中で、「イギリス政府は、公的機関がこの瞬間を記念し、市民としての誇りを高め、歴史の新しい時代を反映する機会を持つことは正しいことだと考えています」とコメントした。

どれだけの公的機関が肖像画を希望しているかはまだ明らかになっていない。政府によると、肖像画は2月以降に納品され、市販もする予定だという。

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