アメリカ現役軍人を人気NFTをめぐる詐欺容疑で逮捕。退役軍人らをターゲットにした「出口詐欺」か
人気NFTボアード・エイプ・ヨット・クラブの価格を不正に高騰させたことで、現役軍人がフロリダ州で逮捕されたことが1月上旬に明らかになった。チャットアプリのDiscord上でNFTを売り込んだことは認めているが、詐欺の容疑は否認しているようだ。
アメリカ空軍のサイバーアナリストが、非代替性トークン(NFT)に関連した大規模犯罪に関与したとして逮捕された。1月上旬に公開された裁判文書から明らかになった。
デビン・アラン・ローデンは、「ラグプル(出口詐欺)」という手口を使ったことで告訴されている。これは、最新のデジタル資産の話で投資家を引きつけ資金を調達した後に、詐欺師が姿をくらますという手口だ。
告訴状によると、ローデンはアメリカのNFT制作スタジオユガ・ラボ(Yuga Labs)が手がけるボアード・エイプ・ヨット・クラブ(BAYC)のコレクションに含まれるUndead Apeを退役軍人にDiscord上で「Deviinz」というユーザーネームを使って売り込み、同NFTの価値を不正に暴騰させたという。投資家たちは、これを入手困難なNFTを制作しているストーンド・エイプ・クルー(Stoned Ape Crew)とのコラボレーション作品だと錯覚。しかし、ストーンド・エイプ・クルーがこのコラボレーションを否定したため、Undead Apeの価値は急落した。これによって、所有しているデジタル資産の「価値がなくなってしまった」と、被害者の一人は語る。
裁判所に提出された書類によると、ローデンは自身のコインベースの口座から8万ドル(約1180万円)を2022年4月に引き出している。金の大半は不正に集められたものだ。金を引き出した直後、ローデンと彼の妻はフロリダ州に30万ドル(約4440万円)の住まいを購入しており、銀行の取引明細書が詐欺罪の証拠として提出された。ローデンのコインベースのアカウントが運転免許証に紐づけられていたことから、捜査当局が彼のGoogleのプロフィールを捜査したところ、「Discordのアカウントの削除をしても履歴は残るのか」「ユーティリティーNFTがラグプルされるとどうなるのか」「有線通信不正行為 軍法会議」といった悪事を証明する検索履歴が発見された。また、Discordの履歴にも、被害者からだまし取った金額を自慢げに語っている様子が残っていた。
ローデンと2人の空軍特別捜査局員を事情聴取したところ、ローデンはDiscordを通じて「自身のサービスをNFT開発者に売り込んだ」ことを認めているが、詐欺の事実は否定したという。彼は現在2万ドル(約300万円)の保釈金を支払い、出廷日が決まるのを待っている。(翻訳:編集部)
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