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  • 2024.01.26

2024年ホイットニー・ビエンナーレは71作家が参加! テーマは「本物よりも、もっと良い」

アメリカ最古の芸術祭、ニューヨークホイットニー美術館が主催する第81回ホイットニー・ビエンナーレ(2024年3月20日から8月11日まで開催)のラインアップが明らかになった。今回は、69人のアーティストと2つのコレクティブが参加する。

前回の2022年ホイットニー・ビエンナーレの会場風景。Photo: Spencer Platt/Getty

1932年に創設されたアメリカ最古の芸術祭、ホイットニー・ビエンナーレは、長年アメリカのアートシーンを紹介してきたが、近年は新進気鋭の若手アーティストが一堂に会する場として国際的に知られるようになった。 前回の2022年は、十分な言説のない中堅や遅咲きのアーティストにスポットライトを当てたことでも評価された。

2024年のキュレーターは、過去、2004年と2006年にもキュレーションを担当したクリッシー・アイルズとメグ・オンリ。テーマは、「本物よりも、もっと良い(Even Better Than the Real Thing)」だ。

同ビエンナーレのプレスリリースによると、このテーマは「本物」についての考え方に焦点を当てるもので、現在、「人工知能が私たちの考える『本物』に挑戦していること、そしてアイデンティティに関する批判的な議論によって、社会は転換期を迎えている」とし、「アイデンティティと形態の流動性(個人のアイデンティティ表現は時間の経過とともに変化するという概念)や、歴史的・現在における土地の資源などの管理、身体性(物理的に身体が存在し、そのことによる外部への効果)の概念など、喫緊の課題を探求する」アーティストを集めたという。

参加アーティストは、画家のスザンヌ・ジャクソン、メアリー・ラブレス・オニール、ハーモニー・ハモンド、コンセプチュアル・アーティストのピッパ・ガーナーら、中堅や遅咲きのアーティストがいるものの、ほとんどは40歳以下の若手だ。

そのほか、フィルム・プログラムに参加するRaqs Media Collectiveや、昨年のシャルジャ・ビエンナーレでビデオ・インスタレーションを発表したことでも知られるアイザック・ジュリアンのような常連作家、2022年のヴェネチア・ビエンナーレに出品し、5年ぶり2度目の参加となるキャロリン・ラザード、ドラ・ブドール、P・スタッフ、トルマリンなどの実力派が脇を固める。

プレスリリースを読む限り、今回は、昨今の美術館での展示や表示の変化を反映しているようにも感じられる。例えばアーティスト紹介では、71アーティストのうちの15人が、自身のジェンダー代名詞に「he(彼)」「she(彼女)」ではなくノンバイナリーを表す「they(彼ら)」を使っていた。また、参加アーティストの大半が非白人。しかし、過去10年間に開催された中でもラテン系の参加者は著しく少なく、プエルトリコ出身のアーティストに至ってはゼロだ。

同ビエンナーレは、大規模な映画やパフォーマンスプログラムを企画することでも知られている。2024年は、映画プログラムに、2019年に同ビエンナーレに参加したアーティストのコラクリット・アルナノンチャイや、写真家・作家・キュレーター・映像作家のasinnajaq、セルビア・ベオグラードにあるキノプラヴダ・インスティテュートの共同設立者兼アーティスティック・ディレクターのGreg de Cuir Jr、そして昨年ドキュメンタリー映画『The Stroll』を公開した映像作家のZackary Druckerが名を連ねている。映画プログラムは、今年初めてオンラインでも実施される予定。また、パフォーマンスプログラムには、L'Rain名義でも活動するミュージシャンのタジャ・チークが参加する。

* 参加アーティスト一覧

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