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カニエ・ウェストが最新アルバムのティザーをドロップ。新作は過去の差別的な言動に対する「弁解」?

カニエ・ウェスト(イェ)が最新アルバムのティザー動画を1月23日にX(旧ツイッター)で公開した。予告動画を手がけたのは、2020年に性的暴行で訴えられたジョン・ラフマン。二人にとって、表舞台へ返り咲くための一歩となるのか?

Courtesy of Kanye West via X

カニエ・ウェスト(イェ)は、2月9日から順次リリースされるアルバム『Vultures』の予告動画を公開した。この動画を手がけたのはアーティストであり、映像作家のジョン・ラフマンだ。

X(旧ツイッター)で1月23日に公開されたトレイラーは、カルト教団に乗っ取られ、吠えるオオカミ男や殺人ピエロ、そして腹を空かせたカラスの巣窟と化した郊外の都市で起きる目まぐるしいストーリーを描いている。映像内にはウェストの曲が挿入されており、その歌詞は彼が抱いていたとされる女性蔑視的な考えや、反ユダヤ主義の疑いに対する釈然としない弁明を兼ねていた。予告編は、燃え盛る家々を背景に、幽霊のような民兵が戦闘態勢に入るところから始まる。

そして、長らく延期されていたアルバムは、2月9日、3月8日、そして4月5日の3回に分けられてリリースされると、ウェストはInstagramに投稿している。

3人の女性が性的暴行をInstagramのアカウント「@surviving_the_artworld」を通して告発したことで、2020年にキャリアがふいになってしまったラフマン。そんな彼にとって『Vultures』の予告動画を手がけたことは、表舞台に返り咲くための注目の試練となる。

犯した過ちに対する謝罪文を2020年に発表したラフマンは後に、ARTNews US版にこう語っている。「被害者の方々には申し訳ないと思っています。でも、こうした証言に対してInstagramやメディアが貼っている不可解なレッテルは腑に落ちません」

ラフマンの超現実的な映像インスタレーションやエッセイフィルムはあらゆる場所で発表されている。例えば、彼が2016年から2019年に制作した《Dream Journal》は、2019年のヴェネチア・ビエンナーレで展示された。しかし、準備を進めていたいくつかの個展は、不祥事によって頓挫してしまった。

物議を醸す発言が多いウェストも、10年以上前から反ユダヤ主義的な発言から激しく非難されており、扇動的な発言に対して2023年に公に謝罪をしている。だが、仮に『Vultures』の予告動画を彼が改心した証拠として見なすのであれば、ウェストは一転して攻勢に出ていると言えるだろう。(翻訳:編集部)

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