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  • 2024.02.16

ジェフ・クーンズ作品、月へ! 125点のアート作品を載せた月着陸船が打ち上げ成功

2月15日、ジェフ・クーンズの125点の彫刻を載せた無人の月着陸船が、フロリダのNASAケネディ宇宙センターから打ち上げられた。月面での作品設置が成功すれば、月における最初の公認された芸術作品となる。

2014年6月24日、ホイットニー美術館で開催された回顧展内覧会でのジェフ・クーンズ。Photo: by Andrew Bueton/Getty Images

2024年2月15日未明、ジェフ・クーンズが手がけた125点の彫刻作品がケープカナベラルにあるケネディ宇宙センターから月へと飛び立った。

度重なる延期を経た末に実現した「Moon Phases」と呼ばれるプロジェクトは2022年に発表され、非代替性トークン(NFT)のコレクションを軸に展開されている。発表当初の計画では、2022年の7月に彫刻を月面に設置し、NFT作品はペース・ギャラリーの独自NFTマーケットプレイスPace Versoを通して販売される予定だった。

クーンズが手がけた彫刻は、幾度もの紆余曲折を経て、月面着陸船とともにスペースXのロケット「ファルコン9」で2月14日に打ち上げられることとなった。

「月面着陸船には、クーンズが手がけた1インチのミニチュア彫刻《Moon Phases》が125個搭載されます。それぞれの彫刻は月の満ち欠けを表しており、モーツァルト、ガリレオ、クレオパトラ、レオナルド・ダ・ヴィンチなど、人類の生活に大きな影響を与えた偉人の名が刻まれています」と、プロジェクトの声明文に記されている。「《Moon Phases》は、公認のもと月面に設置される最初の芸術作品となります」

しかし、ロケットのメタン推進剤のトラブルが科学者によって発見されたことから、打ち上げは延期されていたと、ニューヨーク・タイムズは報じている

ジェフ・クーンズの「月の満ち欠けプロジェクト」より。月に送る小さな彫刻作品(写真左)、地球で販売される拡大版の彫刻作品(同中央)。Photo: ©JEFF KOONS

クーンズの作品を月へと運ぶのは、アメリカの民間企業Intuitive Machinesの無人月着陸船「Intuitive Machines Nova-C(Nova-C)」。イーロン・マスクが2002年に創業したスペースXが開発したロケット「ファルコン9」で打ち上げ、分離したのちに月へ向かうよう設計されている。

クーンズは、彫刻がNova-Cに格納され、ファルコン9に搭載される様子を収めた写真とともに、自身の作品が月へと打ち上げられることを2024年2月13日にX(旧ツイッター)に投稿している。

今回の航行が計画通りに進めば、Nova-Cは2月22日に月面着陸する見通しだ。

「私はケネディ大統領が月に行く計画(アポロ計画)を話している姿を見ながら育ちました」と、クーンズは打ち上げ前にニューヨーク・タイムズに語っている。「彼の考えは、自分たちを信じて物事を成し遂げるために必要なビジョンと原動力を私たちの社会に与えてくれたのです」

月面に展示する風景を捉えた画像などを含んだNFT作品と、歴史上の人物の名前を冠したガラスでできた月の彫刻の拡大版は、Moon Phasesプロジェクトの一環として、地球に住むコレクターたちに提供される。(翻訳:編集部)

from ARTnews

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