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「1.5℃は死んだ」──ダーウィンの墓に落書きしたジャスト・ストップ・オイルの活動家2人を逮捕

イギリス・ロンドン時間の13日午前9:30、ウェストミンスター寺院にあるチャールズ・ダーウィンの墓がジャスト・ストップ・オイルの活動家2人によって汚損された。墓に恒久的なダメージはないが、活動家らはその後、ロンドン警察に逮捕された。

ダーウィンの墓に落書きしたジャスト・ストップ・オイルの活動家
チャールズ・ダーウィンの墓に「1.5 IS DEAD(1.5℃は死んだ)」と落書きしたジャスト・ストップ・オイルの活動家、アリソン・リーとディ・ブライ。Photo: Kristian Buus/In Pictures via Getty Images

ロンドンウェストミンスター寺院にあるイギリスの自然主義者チャールズ・ダーウィンの墓が、環境活動家グループ、ジャスト・ストップ・オイル(Just Stop Oil、以後JSO)のメンバー2人によって汚損された。

この抗議行動が起きたのは、イギリス・ロンドン時間の13日午前9:30。JSOの2人の活動家、元教師助手のアリソン・リー(66歳)と、レディング議会の元事務総長ディ・ブライ(77歳)はウェストミンスター寺院に入り、ダーウィンの白い大理石の墓石にオレンジ色のパウダースプレーで「1.5 is dead(1.5℃は死んだ)」と書いた。このメッセージは、地球温暖化に関する最新の報告書の内容に沿ったものだ。

報告書とは、EUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が1月10日に発表したもので、それによると、世界的に高い気温を記録した2024年は、平均気温が産業革命前の水準を1.5℃上回った最初の暦年となった。周知の通り、産業革命前の気温より温暖化を1.5℃に抑えることは、2015年に各国が合意した地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ条約」の重要な約束のひとつだ。

今回の行動に及んだJSO活動家の一人は、「私たちは安全を確保できるはずだった1.5℃のしきい値を超えてしまった。私たちが6度目の大量絶滅の真っ只中にいることを知ったら、ダーウィンは墓の中で身悶えするだろう」と語っている。リーとブリは当局に身柄を拘束され、ウェストミンスター寺院への器物損壊容疑で逮捕された。

警察に連行されるジャスト・ストップ・オイルの活動家、アリソン・リーとディ・ブライ。Photo: Kristian Buus/In Pictures via Getty Images

ウェストミンスター寺院はこの抗議行動の後、すぐに墓の清掃を開始したといい、声明を通じて「警察が現場に急行し、対応にあたりました。専門家の見立てでは恒久的な損傷はないと考えられるため、ウェストミンスター寺院は通常通り礼拝者のために開放しています」と発表している。

ウェストミンスター寺院はイギリス王室の戴冠式や埋葬の場として知られ、ロンドンの観光名所でもある。そこに眠るチャールズ・ダーウィンは進化論で知られ、1882年の死去後、アイザック・ニュートンやスティーブン・ホーキングなどの著名人と同じウェストミンスター寺院の科学者セクションに埋葬されている。

JSOはこれまで、ロンドンのナショナルギャラリーからマンチェスター美術館まで、さまざまな美術館で抗議行動を行ってきた。このグループの影響力は大きく、常に物議を醸している。

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