活動家のアートアタックやまず。2024年に標的になった作品は?【2024年アートニュースまとめ】
スープから発煙筒、色粉まで、さまざまな手段を駆使して気候変動の深刻さや地政学リスクの高まりを訴え続けてきた活動団体。2024年の標的となった作品や未来を憂いて過激な行動を取った活動家たちに下された処罰などを見返してみよう。
ケーキの次はスープ!《モナ・リザ》が農業システムの腐敗を訴える環境活動家のターゲットに
1月28日の午前、ルーブル美術館に収蔵されている《モナ・リザ》にスープがかけられた。健康的かつ持続性のある食料システムの権利を訴える「Riposte Alimentaire(食の反撃)」と呼ばれる環境活動団体に所属する二人の活動家が実行した。
今度はモネの《Le Printemps》が標的に。「未来の芸術家が描ける“春”はもう来ない」
2月10日、フランスのリヨンにあるボザール美術館で、2人の環境保護活動家がクロード・モネの絵にスープを投げつける事件があった。絵画は防護ガラスで保護されていたが、美術館はル・モンド紙に「詳細な検査と修復が必要」と説明している。2人の活動家は破壊行為の容疑で逮捕された。
止まらないアート攻撃。ウフィツィ美術館ではボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》に写真を糊付け
イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館に展示されたボッティチェリの傑作《ヴィーナスの誕生》(1483年頃)の保護ガラスに、2月13日、2人の環境活動家が写真などを貼り付けた。
「スープは家に置いてくる」と約束、環境保護団体がイギリスの美術館評議会に話し合いを要請
有名アート作品にスープをかけるといった過激な抗議行動を行ってきた環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」が、イギリスの美術館評議会「National Museum Directors' Council」に話し合いの場を設けるよう、公開書簡を通じて要請した。
「悪党による非行を罰する法整備を!」──オルセー美術館での抗議行動を受け、仏文化相がSNSで要請
環境活動家によるアートアタックが欧米の美術館で相次ぐなか、フランス文化相のラシダ・ダチは、活動家による美術品の破壊行為を罰する新たな法律を制定するようXで呼びかけた。
アート作品にスープをかけるのは「創造的破壊」──環境活動家に下された禁固刑に芸術家らが反発
ゴッホの《ひまわり》にスープをかけたとして、器物損壊の罪で禁固刑が言い渡されたジャスト・ストップ・オイルの活動家2名を擁護する書簡が公開された。書簡には反体制的なアーティストをはじめとする100名以上の芸術関係者が署名しており、「芸術の規範に基づいた行為」として活動家の実刑判決を撤回するよう求めた。
美術館の入り口に黄色い煙! アムステルダムで抗議行動を行った環境活動家30人超が逮捕
9月7日、アムステルダム国立美術館の入り口を環境活動家グループが占拠したため、同館は閉鎖を余儀なくされた。活動家グループは、同館のメインスポンサーである総合金融機関、INGグループが化石燃料産業に多額の融資を行っていることを非難している。
《真珠の耳飾りの少女》を攻撃した活動家、控訴審で勝訴。過剰な厳罰で「平和的抗議への意欲」を奪うべきではないと判断
2022年、オランダのマウリッツハイス美術館で展示されているヨハネス・フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》がアートアタックの対象となった。これに対して活動家らには2カ月の懲役刑が言い渡されていたが、オランダの控訴裁判所はこれ以上の実刑は過剰と判断した。
ピカソの母子像にガザ地区母子の写真を貼り付ける。活動家がイギリス政府のイスラエル加担に抗議
10月9日、2人の活動家が、ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されているパブロ・ピカソの絵画《母性(La Maternité)》(1901)の上に血まみれになったガザ地区の母子の写真を貼り付ける抗議行動を行った。
ゴッホ《ひまわり》へのスープ攻撃以来、2例目。ストーンヘンジに色粉を撒いた活動家3名が起訴
世界遺産のストーンヘンジにオレンジ色の粉をかけたことから、環境活動団体「ジャスト・ストップ・オイル」の活動家3名が「保護建造物の破壊または損傷」した罪で起訴された。
あのチャールズ国王の肖像画が動物愛護団体の標的に。顔部分を人気アニメの主人公に差し替え
6月11日、イギリスの動物愛護団体「Animal Rising」がチャールズ3世の肖像画に大人気ストップモーション・アニメーション作品『ウォレスとグルミット』に登場するウォレスの顔を貼り付けた。今回の活動は、動物福祉を推進する非営利団体、英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)から認証を受けた農場が動物を虐待している現状を啓蒙することを目的としていたという。