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「悪党による非行を罰する法整備を!」──オルセー美術館での抗議行動を受け、仏文化相がSNSで要請

環境活動家によるアートアタックが欧米の美術館で相次ぐなか、フランス文化相のラシダ・ダチは、活動家による美術品の破壊行為を罰する新たな法律を制定するようXで呼びかけた。

「Riposte Alimentaire(食の反撃)」の活動家がオルセー美術館で抗議する様子。Photo: Courtesy of Riposte Alimentaire/via X

6月1日にオルセー美術館気候変動活動家がクロード・モネが1873年に制作した絵画《アルジャントゥイユのひなげし》を赤色の布で覆ったことを受け、フランス文化相ラシダ・ダチは、活動家を罰する新たな法律を制定するようX(旧Twitter)で呼びかけた

「文化施設と芸術作品が再び破壊主義者の標的となりました。オルセー美術館に展示されているクロード・モネの絵画《アルジャントゥイユのひなげし》が攻撃されたのです! こうした悪党による美術品の破壊は、どのような形であれ、正当化されるべきではなく、絶対に止めなくてはなりません! 司法大臣に連絡を取り、私たちの結束の象徴である文化を攻撃する、新たな形の非行を罰するための法律の制定を求めました」

モネの代表作の一つである《アルジャントゥイユのひなげし》は、オルセー美術館で7月14日まで開催されている「Paris 1874: Inventing Impressionism」で展示されている。

モネの作品を使って抗議を行った団体「Riposte Alimentaire(食の反撃)」は、「2100年までに気候変動を止めるための抜本的な対策が講じられなければ」、赤く塗られた「悪夢のような」光景が広がるだろうと、Xに投稿している。

持続可能な食料システムの確立の主張を通じて気候変動に対して抗議活動を行う「Riposte Alimentaire(食の反撃)」は、これまでルーブル美術館に展示されている《民衆を導く自由の女神》の横に「抵抗は不可欠」と記されたステッカーを貼ったり、《モナ・リザ》にトマトスープをかけたりするなど、ヨーロッパ中の美術館を標的にしてきた。

オルセー美術館で抗議した活動家は「+4° L’Enfer」と書かれた白いTシャツを身に着けていた。これは、地球が4℃温暖化した場合、深刻な熱波が発生する可能性が著しく高くなることを示した気候に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書の内容を参照している。

オルセー美術館の広報担当者はArt Newspaperの取材に対し、この絵は修復師による検査と処置が施されたのちに6月1日に展示が再開されたと語り、こう続ける。「この活動家は逮捕され、6月3日まで警察に拘留されていましたが、一時的に釈放されています。彼女は7月2日に法廷で裁かれる予定です」

オルセー美術館への抗議に対するダティのコメントが発表されたのは、6月3日にパフォーマンス・アーティストのデボラ・デ・ロベリスが起訴された直後のことだった。フランス検察当局は、ポンピドゥー・センター・メスに展示されていたグスタフ・クールベの《世界の起源》を含む5点の美術品に「Me Too」と赤いペンキで書き込んだことを受け、デ・ロベリスと他1人のアーティストを文化財の損傷と、窃盗の罪で起訴したと発表した。(翻訳:編集部)

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