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ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》横に「抵抗は不可欠」のステッカー。環境活動家2人を逮捕

5月8日、パリのルーブル美術館に展示されているウジェーヌ・ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》(1830)の横に環境活動家2人がステッカーを貼り、逮捕される騒動が起こった。

2023年9月30日、修復のために取り外されるウジェーヌ・ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》(1830)。 Photo: Dimitar DilkoffI/AFP Via Getty Images

《民衆を導く自由の女神》(1830)は、当時32歳だったウジェーヌ・ドラクロワが、実際にフランス七月革命の市街地戦を見て描いた大作だ。6カ月に及ぶ修復作業を経て、5月2日にルーブル美術館で再公開されたばかりのこの作品が、環境活動団体「Riposte Alimentaire(食の反撃)」の名前が入った白いTシャツを着た活動家2人によって抗議行動の標的となった。

活動家たちは作品横に「Résister est vital(抵抗は不可欠)」と書かれたステッカーを数枚貼り付け、右手を掲げながら、食料を持続可能にするための社会保障の必要性について訴えた。

ルーブル美術館によれば、この作品は「モナリザの次にルーブル美術館で最も有名な絵」だという。同館の広報担当者は、作品に被害はなかったと語っている。また、Riposte Alimentaireの2人は警察に逮捕され、館長によって「故意の破損」の罪で起訴されたという。

Riposte Alimentaireは、毎月の食料カード、国の農業モデルの変革、農家の人々の「尊厳ある生活の確保」などの実現を通して、すべての人に健康的な食料を持続的に供給することを呼びかけている環境活動団体だ。美術館で作品を標的にしたアートアタックを何度も実行している「ジャスト・ストップ・オイル」や「Extinction Rebellion」と同様に、世界の環境活動団体による組織「A22ネットワーク」にも加盟している。

Riposte Alimentaireも過去にアートアタックを行っており、2024年1月28日にはルーブル美術館でダ・ヴィンチの《モナ・リザ》に、2月10日にはリヨンのボザール美術館でクロード・モネの《Le Printemps(春)》にいずれもスープを投げつけている。(翻訳:編集部)

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