止まらないアート攻撃。ウフィツィ美術館ではボッティチェリ《ヴィーナスの誕生》に写真を糊付け
イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館に展示されたボッティチェリの傑作《ヴィーナスの誕生》(1483年頃)の保護ガラスに、2月13日、2人の環境活動家が写真などを貼り付けた。
今回、ウフィツィ美術館で展示されていたボッティチェリの《ヴィーナスの誕生》(1483年頃)に写真などを貼り付けた二人の活動家たちは、「ラスト・ジェネレーション」(地球の気候システムの転換点を迎える前の最後の世代という意味)という名の環境活動団体のメンバー。彼らはこの名作絵画にトスカーナの町が水没した様子の写真などを貼り付け、こう訴えた。
「政府は1月に畑で起こった火災をもみ消そうとしている。また今年の夏は水害はないと言い、洪水による家屋破壊などの被害は人間の選択によるものではなく偶発的なものだと主張している。彼らは現実の問題に対処する代わりに、不合理な法律を制定しているのだ」
フランス24によると、その後彼らは身柄を確保され、警察署に連行されたという。貼られた写真はガラスから簡単に取り除かれ、展示は15分以内に再開された。
ラスト・ジェネレーションの活動は、2022年、総選挙前のイタリアでの平和的な抗議運動からスタートした。彼らは以後、政治家たちに気候変動への対処を優先するよう訴えてきたが、欧州委員会が最近発表したところによると、イタリアは、同委員会が定めた2030年までの温室効果ガス排出量の目標値を大幅に上回る見込みだという。
ウフィツィ美術館は2022年にも環境活動家の抗議行動のターゲットになっており、2人の活動家が別のボッティチェリの絵画の保護ガラスに手を接着した。この件についての裁判では、当時はまだ環境活動家による抗議行動に対処する法整備が整っていなかったため、2023年11月に無罪が確定している。しかし、その後の2024年1月に、モニュメントや文化財を破損した者に対する罰則を強化する法律がイタリア議会で承認された。
最近では、ルーブル美術館のダ・ヴィンチ《モナ・リザ》やフランスの美術館のモネ《Le Printemps》にスープががかけられるなど、ヨーロッパ全土で環境活動家によるアートアタックが頻発している。(翻訳:編集部)
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