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アート作品にスープをかけるのは「創造的破壊」──環境活動家に下された禁固刑に芸術家らが反発

ゴッホの《ひまわり》にスープをかけたとして、器物損壊の罪で禁固刑が言い渡されたジャスト・ストップ・オイルの活動家2名を擁護する書簡がこのほど公開された。書簡には反体制的なアーティストをはじめとする100名以上の芸術関係者が署名しており、「芸術の規範に基づいた行為」として活動家の実刑判決を撤回するよう求めている。

ゴッホの《ひまわり》にトマトスープをかけたジャスト・ストップ・オイルの活動家たち。Photo: Courtesy of Just Stop Oil

アーティストや学芸員、学者をはじめとする100人以上の美術関係者が、環境活動団体「ジャスト・ストップ・オイル」の活動家2名に下された実刑判決の撤回を求める公開書簡に署名した。この書簡は、グリーンピースのイギリス支部と、美術分野に対する化石燃料産業の資金援助に反対する抗議活動を通じて「創造的な不服従」を掲げるアート・コレクティブ、「Liberate Tate」によって作成された。

2022年10月、同団体に所属するフィービー・プラマーとアンナ・ホランドは、ロンドンのナショナル・ギャラリーで、フィンセント・ファン・ゴッホの《ひまわり》にハインツのトマトスープ缶を投げつけた上、絵画が展示されている壁に瞬間接着剤で自らの手を貼り付けた。

絵画自体に損傷はなかったものの、17世紀イタリアで作られたアンティークの額縁が損傷したと検察側は主張。 プラマーとホランドは器物損壊の罪で起訴され、今年7月に有罪判決が言い渡されている。 サザーク刑事法院のクリストファー・へヒア裁判官は、22歳のプラマーとホランドに対し、「刑務所に入るまでに、心と身の回りの準備をしておくように」と告げた。へヒアはこれ以外にも、ロンドン市内の交通を混乱させたとして、抗議に参加していた別のジャスト・ストップ・オイルのメンバーたちに4〜5年の禁固刑を言い渡している。

プラマーとホランドが収監される前日の9月26日に公開されたこの書簡に署名したのは、フィオナ・バナー、ピーター・ケナード、タニア・ブルゲラをはじめとするアーティスト、そしてニューヨーク大学、ウィラメット大学、ゴールドスミス大学、ダブリンの国立芸術デザイン大学、コペンハーゲン大学の美術史家や学者たち。書簡には、「芸術の規範に完全に結びついた行為」だと記されており、こう続く。

「芸術家、芸術関係者、美術史家として私たちは、今回の判決は芸術における純粋性という誤った概念を擁護していることに懸念を抱いている。芸術は偶像破壊主義的な思想をはらんでいることが多い。芸術の規範に完全に結びついた活動家たちが実刑判決を受けるべきではないだろう」

書簡に署名した美術関係者たちは、未来派やダダイストの作品、アスガー・ヨルン、ロバート・ラウシェンバーグ、グスタフ・メッツガー、具体美術協会、ジム・ダイン、マルタ・ミヌヒン、1960年代のパフォーマンス・アーティスト、アレクサンダー・ブレナー、バンクシーなど、120年以上前から、芸術活動の一部として偶像破壊が認められてきたと主張し、以下のように書簡に記している。

これらの偶像破壊者たちの作品は、ジャスト・ストップ・オイルが取ってきた行動と比べて取り返しの付かない物理的破壊を伴うことが多かったが、今では世界中の美術館で崇められている。こうした偶像破壊的な作品は、2013年にテート・ブリテンが開催した展覧会『ART UNDER ATTACK: HISTORIES OF BIRITSH ICONOCLASM』をはじめ、定期的に展覧会のテーマとなっている。

プラマーとホランドの抗議は、ハインツではなくキャンベル・スープを使用することで、美術史に一石を投じたのかもしれない。ジャスト・ストップ・オイルの行動と社会に投げかけたメッセージを、部外者による芸術への攻撃とみなすのは誤りであるというのが、我々の専門家の意見だ。むしろ、これは創造的な偶像破壊という確立された伝統に属するものと言ってもいいだろう。

へヒア裁判官は、芸術を通じて社会の良心に訴えるという何世紀も続く伝統を守るために、プラマーとホランドを9月27日に実刑判決で処罰することは避けるべきだ。

プラマーはSNS上で数百万回再生された動画の中で、抗議の理由を語っている。動画内でプラマーは、イギリスの当時の首相、リズ・トラスが大量の化石燃料の採掘権をエネルギー企業に付与しようとしたこと、洋上風力発電のコストの方がはるかに低いと報告されているにもかかわらず、再生可能エネルギーと比較して化石燃料が受けている補助金を多く提供していることなどを訴えており、さらにはエネルギーコストへの懸念が高まっているイギリスの生活費の危機との関連といった問題に人々の注意を向けるために抗議活動を実施していると話していた。(翻訳:編集部)

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