フランシス・ベーコンが恋人に捧げた風景画がオークションへ。予想落札額は約38億円
フランシス・ベーコンがパートナーとともに過ごしたモロッコのタンジェを描いた風景画と、クロード・モネの連作《セーヌ河の朝》の一つがクリスティーズの20世紀・21世紀美術イブニングセールに出品される。予想落札額の最高値はそれぞれ2000万ポンド(約38億円)と1800万ポンド(35億円)だという。
ロンドンで開催されるクリスティーズの20世紀・21世紀美術イブニングセールでは、2つの風景画が高値で落札されるだろう。今回出品されるフランシス・ベーコンのダイナミックかつ情熱的な作品と、クロード・モネの切なげな作品がオークションに出されるのはかなり久しぶりのことだ。
ベーコンの《Landscape near Malabata, Tangier》(1963年)は、1500万〜2000万ポンド(約28億4000万〜37億8500万円)で落札されることが予測されている。この作品は、情熱的かつ虐待的な交際を続けていたピーター・レイシーに捧げられている。
レイシーが1962年に46歳で悲劇的な死を遂げた翌年にロンドン市内で制作されたこの作品は、マールボロ・ギャラリーで購入したあるコレクターの元で20年以上保管されていた。その後1985年にサザビーズ・ニューヨークで落札されたときには、51万7000ドル(当時の為替で約1億2400万円)の値がついた。クリスティーズによると、同作はこれまで、パリのグラン・パレ・エフェメールで1971〜1972年に開催された回顧展や、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで2022年に開催された「Francis Bacon: Man and Beast」といった展覧会に出展されてきた。
モネがアトリエ舟で描いたセーヌ川
モネの《Matinée sur la Seine, temps net(セーヌ河の朝、快晴)》(1897年)は連作《セーヌ河の朝》を構成する21点の絵画の一つだ。それぞれの作品は、異なる時間のセーヌ川を同じ角度から描かれている。
落札額が1200万〜1800万ポンド(約22億7140万〜34億710万円)と予想されている本作は、45年ぶりにオークションにかけられる。
この作品は、モネが《睡蓮》といった代表作を制作したフランスの田舎町、ジヴェルニーを流れる川の上にあるアトリエ舟で制作された。
《Matinée sur la Seine, temps net》が最後に展示されたのは、ボストン美術館やシカゴ美術館、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで1990年に開催された「Monet in the ‘90s: The Series Paintings」だ。
ベーコンの作品は、クリスティーズ・ニューヨークで2月19日まで展示され、3月1〜7日には両作品がクリスティーズ・ロンドンで展示される予定だ。(翻訳:編集部)
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