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2024年パリオリンピックの公式ポスターに右派・保守派議員が猛批判。「現実を歪曲している」

3月5日に発表された2024年パリオリンピック・パラリンピックの公式ポスターに対して、 地元の右派・保守派議員が「本来あるべきものが描かれていない」と批判を繰り広げている。

オルセー美術館で発表された2024年パリオリンピック・パラリンピックの公式ポスターと、組織委員会会長のトニー・エスタンゲ。Photo: Mustafa Yalcin/Anadolu Via Getty Images

2024年パリオリンピック・パラリンピックの公式ポスターは3月5日、オルセー美術館でお披露目された。地元のイラストレーター、ウーゴ・ガットーニが2000時間以上もかけて制作したというポスターには、幻想的で鮮やかなパリの街並みのパノラマが描かれており、その中にはセーヌ川沿いのエッフェル塔や凱旋門といったフランスを象徴的する建物や、オリンピックとパラリンピックの全54競技が見事に収められている。

しかし、フランスの右派と保守派は、ポスターの中にフランスの三色旗が描かれていない点と、アンヴァリッド(国立廃兵院)のドーム上に本来ある十字架が無い点を問題視した

これについて、右派政党である共和党の欧州議会議員、フランソワ=グザビエ・ベラミは、X(旧ツイッター)で「現実を歪曲」し、「フランスの歴史を帳消し」にしていると投稿。極右政党レコンケテのマリオン・マレシャルもXで、「私たちが誰であるのかを隠すのであれば、フランスでオリンピックを開催する意味はない」と非難した。

ガットーニはこれらの批判に対し、「何の下心もなく、思いつくままに」建物を描いたのだと説明。五輪組織委員会から提供されたAFP通信への声明の中でも、「オリジナルに忠実であることを目指すのではなく、シュールレアリスム的で祝祭的な世界観の中で、一目でそれと分かるようにすることを心がけた」とコメントした。

オリンピック組織委員会も、このポスターについて、「波が立つマルセイユ・マリーナや、ピンク色のエッフェル塔、凱旋門を通過するメトロ──いずれも新しく生まれ変わったスタジアム都市を軽快に表現したもので、政治的動機に基づく解釈の対象になってはならないのです」と説明した。

2024年パリオリンピックで問題視されているのは、ポスターだけではない。公式キャラクターについても、「冷たい目をしている」「形状が卑猥」などの批判を受けている

パリオリンピックは2024年7月26日から8月11日まで、パラリンピックは8月28日から9月8日まで開催される。(翻訳:編集部)

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