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今週末に見たいアートイベントTOP5: 古代エジプト美術約150点が大集結! 玉山拓郎が見つめ直す「空間」と「時間」

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

《神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ》(部分)前760~前558年頃 ブルックリン博物館蔵 Photo: Brooklyn Museum
ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプトより、《神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ》(部分)前760~前558年頃 ブルックリン博物館蔵 Photo: Brooklyn Museum

1. 谷中佑輔 弔いの選択(十和田市現代美術館)

谷中佑輔《Gallop》 2022/2024年 撮影:小山田邦哉
谷中佑輔《Gallop》 2022/2024年 撮影:小山田邦哉
谷中佑輔《CRISPR-PP7》2024年 撮影:小山田邦哉
谷中佑輔《CRISPR-PP2》2024年 撮影:小山田邦哉

谷中佑輔が問う身体の脆さと向き合う儚さ

ベルリンを拠点に活動する谷中佑輔が美術館で開催する初個展。新作のインスタレーションや彫刻、映像インスタレーション、パフォーマンスを発表する。

本展では、老いや病気、怪我、障害といった全ての身体が本質的にはらむ脆弱性と、それを克服しようと日々進化する医療技術が私たちに抱かせる欲望や儚い希望、また必ずしも思い通りにならない脆さを抱えながら生きることなどについて考察し、作品を展開している。健康な人もそうでない人も、誰もが囚われているこの不確かで不安定な身体について、あらためて見つめ直す機会となるだろう。

谷中佑輔 弔いの選択
会期:12月7日(土)〜 3月23日(日)
場所:十和田市現代美術館(青森県十和田市西二番町10-9)
時間:9:00 〜17:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日は翌平日)、1月24日


2. 玉山拓郎:FLOOR(豊田市美術館)

玉山拓郎 ©TAMAYAMA Takuro and Toyota Municipal Museum of Art, 2024
玉山拓郎 ©TAMAYAMA Takuro and Toyota Municipal Museum of Art, 2024
玉山拓郎 ©TAMAYAMA Takuro and Toyota Municipal Museum of Art, 2024

大スケールの作品で見つめ直す「空間」と「時間」

現在最も注目を集める作家の一人である玉山拓郎は、絵画制作を出発点としながら立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションを展開している。

本展では、特徴的な展示空間に、建築とも、構造物とも、あるいは立体作品や彫刻ともつかない巨大なインスタレーション作品を展示する。ひとつのインスタレーションが、日の光の移ろいによって刻々と変化する展示室にさまざまなかたちであらわれることで、鑑賞者は空間と時間の中の体験そのものを改めて見つめ直すことになるだろう。

玉山拓郎:FLOOR
会期:1月18日(土)〜5月18日(日)
場所:豊田市美術館(愛知県豊田市小坂本町8-5-1)
時間:10:00〜17:30(入場は30分前まで)
休館日:月曜(2月24日、4月28日、5月5日は開館)


3. Exploring Ⅱ -日常に息づく芸術のかけら-(スパイラルガーデン)

舛次崇《ビンにいけられた花とビワとブドウの実》2010年 Pastel on watercolor paper 79 × 54.7 cm Courtesy of Suzukake Art Club & Atelier Suzukake
松本国三《無題》2020年 Ink on calendar 27 × 20 cm Courtesy of Atelier Hiko & Yukiko Koide Presents
平田安弘《とうもろこし》2011年 Colored nails, acrylic on paper tube φ9.3 × 43.3 cm Courtesy of Atelier Hiko
藤岡祐機《無題》2006-2009年 Crayon on paper, cutting with scissors 5.3 × 6.9 cm Courtesy of Yukiko Koide Presents
平野喜靖《無題》2015年 Color gel pen on paper 54.5 × 77 cm Courtesy of Yellow
福田尚代《翼あるもの『十五少年漂流記』》2022年 Book with pages folded-in 22.4 × 29.3 × 9 cm © Naoyo Fukuda Courtesy of Yukiko Koide Presents

障がいの有無を超えた日常を解く試み

障がいのある人の優れた作品を、現在活躍している美術作家とともに紹介する展覧会。本展では、日常の生活の中に息づくものとして、「いとしきもの」「手わざ」「ルーティーン」「文字をこえて」をキーワードに、暮らしの中で愛おしいと感じる感覚や、ありふれた手仕事や行為に隠された意味、常識の中に存在する小さな違和感などに触れる。障がいの有無を超えて、人が表現し続ける根源を探る機会となる。

出展作家は、上土橋勇樹、小林孝亘、柴田龍平、舛次崇、曽祇一晃、立花文穂、谷澤紗和子、似里力、平田安弘、平野喜靖、福田尚代、藤岡祐機、松本国三、森本絵利。

Exploring Ⅱ -日常に息づく芸術のかけら-
会期:1月23日(木)〜1月27日(月)
場所:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23)
時間:11:00〜19:00(27日は18:00まで)
休館日:無休


4. 毛利悠子、トレヴァー・ヤン 「帰ってきたやまびこ」(Yutaka Kikutake Gallery Kyobashi)

2作家の親交から生まれた新たな実践

東アジアを代表するアーティストとして活動の場を広げるトレヴァー・ヤンと毛利悠子による二人展。ヤンは個人的な経験と社会への鋭い観察を織り交ぜ、写真作品から大規模なインスタレーションまで多岐にわたり制作をしている。毛利は既製品、ファウンド・オブジェ、自作の装置を組み合わせて、展示環境などの諸条件によって変化していく事象を生成するインスタレーション作品を発表してきた。

第60回ヴェネチア・ビエンナーレの香港代表を務めたヤンと、日本代表の毛利は、本展に向けてヴェネチアと東京での滞在を通し親交を深めていた。その間に交わされた会話や目にした情景は、日常における些細な事象を掬い上げる共通のプロセスの起点となり、やまびこが音を反響するように作品に反映され、呼応し合っている。

毛利悠子、トレヴァー・ヤン 「帰ってきたやまびこ」
会期:1月24日(金)〜3月8日(土)
場所:Yutaka Kikutake Gallery Kyobashi(東京都中央区 京橋1-7-1)
時間:11:00~19:00
休館日:日月祝


5. ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト(森アーツセンターギャラリー)

《神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ》(部分)前760~前558年頃 ブルックリン博物館蔵 Photo: Brooklyn Museum
《ラメセス2世の石碑》前1279~前1213年頃 ブルックリン博物館蔵 Photo: Brooklyn Museum
《人頭の鳥で表されるバーの護符》おそらく前305~前30年 ブルックリン博物館蔵 Photo: Brooklyn Museum
《カバの像》前1938~前1539年頃 ブルックリン博物館蔵 Photo: Brooklyn Museum
《ネコの棺とミイラ》前664~前332年 ブルックリン博物館蔵 Photo: Brooklyn Museum

古代エジプト文明を紐解く大型展覧会

ニューヨークのブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、選りすぐりの名品群が集結。彫刻、棺、宝飾品、土器、パピルス、そして人間や猫のミイラなど約150点の遺物を通じて、想像を超える高度な文化を創出した人々の営みを紐解く。

展示作品は、古代エジプト文明の「日常生活」を描きだす壁画や、ファラオ王の姿や王朝の変遷をたどる石碑、ユニークな死生観にまつわる葬送儀礼に関する道具など。これまでのエジプト展で見過ごされてきた「知っているようで知らない事実」から最新技術を使ったピラミッドの研究成果まで、映像や音声を交えて紹介する。

ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト
会期:1月25日(土)〜4月6日(日)
場所:森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木6-10-1)
時間:10:00~18:00(金土祝前日は20:00まで、入館は30分前まで)
休館日:無休

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