ARTnewsJAPAN

ロサンゼルス現代美術館が「環境芸術賞」を新設。Google元CEOのエリック・シュミットが支援

ロサンゼルス現代美術館(MOCA)が、「芸術、建築、デザインと、気候変動、環境保全、持続可能性、環境正義を結びつける」アーティストに贈る新しい賞を創設した。賞金は10万ドル(約1580万円)。

ロサンゼルス現代美術館の外観。Photo: Elon Schoenholz/ Courtesy the Museum of Contemporary Art, Los Angeles

ロサンゼルス現代美術館(MOCA)が、「芸術、建築、デザイン、気候変動環境保全持続可能性、環境正義の重要な交差点に取り組む」アーティストに贈る新しい賞を創設した。「エリック・アンド・ウェンディ・シュミット環境芸術賞」と名付けられたこの賞の賞金は10万ドル(約1580万円)で、今後2030年までの6年間、2年ごとに1人のアーティストに授与される予定。

MOCA館長のジョアンナ・バートンは声明で、「エリックとウェンディ・シュミット夫妻は、慈善活動を通じて、科学、テクノロジー、芸術が交わるプロジェクトを長年支援してきました。MOCAは、この賞を設立するための寛大な寄付をいただいた夫妻に心からの感謝を捧げます」と語り、「この新しい賞により、MOCAは気候危機や環境保護、持続可能性といった課題に関する対話と理解を促すアーティストの作品を、これからも最前線で紹介できることを嬉しく思います」と続けている。

エリック・シュミットは、GoogleのCEOおよび会長、親会社であるAlphabetの会長を歴任した人物で、フォーブスによる2024年の世界長者番付では94位に名を連ねる。妻のウェンディは、シュミット・ファミリー財団とシュミット海洋研究所の両方で会長を務めている。

夫妻は熱心なアートコレクター、パトロンとしても知られ、2006年に設立したファミリー財団では、再生可能エネルギーから人権保護まで、幅広い慈善活動を行っている。また、シュミット海洋研究所では科学者に研究船を提供し、研究結果を報告している。

さて、この新しい環境芸術賞は、美術、建築、環境保護、生態学などの専門家15~20名によって選ばれた候補者の中から、審査委員会の選考を経て、もっとも優れた最終作品を提案したアーティストに贈られる。受賞者は今秋発表される予定で、その後1年半かけて、2026年春にMOCAで発表されるコミッションワークに取り組むことになる。  

今年の審査員を務めるのは、MOCA館長のジョアンナ・バートン、セインズベリー・センターで芸術と気候変動の学芸員を務めるジョン・ケネス・パラナダ、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員で建築と自然環境の共同研究機関の所長でもあるカーソン・チャン、MoMAの理事長でシュミットの資産運用会社ヒルスパイア社長のマリア・セフェリアン、そして、環境テック&デザインエージェンシーのOdeマネージングパートナーでMOCAの環境評議会顧問ダン・ハマーの5人。

ウェンディ・シュミットは声明で、賞の創設の喜びをこう語った。

「科学とテクノロジーは世界を説明するのに役立ちますが、芸術とコミュニティは理解と帰属意識を与えてくれます。私たちはMOCAとこの賞を設立できたことを誇りに思います。私たちがこれまでの慈善活動を通じて実感してきたように、科学者、芸術家、コミュニティを結びつけることで、人々と地球に関する本質的な真実が明らかになるからです」

from ARTnews

あわせて読みたい