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今週末に見たいアートイベントTOP5: アンゼルム・キーファー日本で26年ぶりの個展、約900点で宇野亞喜良の全仕事を振り返る

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

Exhibition view of Anselm Kiefer: OPUS MAGNUM at Fergus McCaffrey Tokyo, April 2024 ©Anselm Kiefer. Courtesy of Fergus McCaffrey.

1. 「日本のグラフィック・デザイナーと版画」(町田市立国際版画美術館)

福田繁雄《犬》1982年、スクリーンプリント、町田市立国際版画美術館蔵

グラフィック・デザイナーたちが愛し、取り組んだ「版画」を特集

日本では戦後復興期の1950年代「グラフィック・デザイナー」という言葉が知られるようになった。1951年にはデザイナー団体である日本宣伝美術会(通称:日宣美)が設立されると同時に、広告代理店ライト・パブリシティが創業、1959年には第一線で活躍する作家たちを招集した日本デザインセンターが発足。亀倉雄策(1915-1997)を中心に、永井一正(1929年生まれ)、田中一光(1930-2002)ら名だたるデザイナーが活躍した。本展では、黎明期のグラフィック・デザイナーと、彼らが商業ポスターを手掛ける一方で取り組んだ「版画」にスポットを当てる。

彼らにとって版画は、「チームワークと無名の行為」を求められる広告制作とは違い、自らの個性を存分に発揮できる魅力的なメディアだった。 1968年の「第6回東京国際版画ビエンナーレ展」で東京国立近代美術館賞を受賞した永井一正や、デザインとアートの領域を横断して創作を続ける横尾忠則(1936年生まれ)、1990年代に味わい深いエッチングを制作した和田誠(1936-2019)らによる版画と関連資料約40点を紹介することで、グラフィック・デザインと版画双方の魅力を明らかにする。

日本のグラフィック・デザイナーと版画
会期:3月13日(水)~ 5月26日(日)
会場:町田市立国際版画美術館(東京都町田市原町田4-28-1 )
時間: 10:00 ~17:00(土日祝は17:30まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日を除く)、4月30日、5月7日

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2. アンゼルム・キーファー 個展 Opus Magnum(ファーガス・マカフリー)

Exhibition view of Anselm Kiefer: OPUS MAGNUM at Fergus McCaffrey Tokyo, April 2024 ©Anselm Kiefer. Courtesy of Fergus McCaffrey.

日本では26年振り。キーファーの創作20点を紹介

戦後ドイツを代表する新表現主義の作家、アンゼルム・キーファーは、絵画やインスタレーションなど幅広いジャンルで制作しており、見るものを圧倒する壮大な世界観が国際的に高く評価されている。キーファーの生涯と現在を追った、ヴィム・ヴェンダースによるドキュメンタリー映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』が今年6月に日本での公開が決まり、今日益々注目が集まっている。

キーファーにとって26年ぶりの日本での個展となる本展は、ガラスケースの作品と水彩画の計20点が展示されている。また、本展に合わせて12人の著名な作家によるエッセイや各作品についてのテキストを収めた160ページの展覧会カタログも制作した。展示スペースの都合により、入場者を最大5人に制限している。

アンゼルム・キーファー 個展 Opus Magnum
会期:4月2日(火)~ 7月13日(土)
会場:ファーガス・マカフリー(東京都港区北青山3-5-9 )
時間: 11:00 ~19:00
休館日:日月祝


3. 小林エリカ + ハナ・クインラン & ロジー・ヘイスティングス 展(Yutaka Kikutake Gallery)

小林エリカ「春のをどり(愛の夢)」

東京とロンドンの2作家が見つめる過去と現在

ロンドン在住のアーティストデュオ、ハナ・クインラン&ロジー・ヘイスティングスと小林エリカによるグループ展。小林はこれまで、時間や歴史、家族や記憶、場所の痕跡など目に見えないものから着想を得て、小説、漫画、ドローイング、写真、映像、インスタレーションと様々な手法を通じて発表してきた。ハナ・クインラン&ロジー・ヘイスティングスは、西洋の文脈におけるLGBTQカルチャーと社会構造の関係性を探り、美術史やアーカイブを参照することで浮かび上がる諸問題を再解釈しながら、現代の私たちが直面する社会や政治のあり方に疑問を投げかけてきた。

小林は近年、第2次世界大戦中に風船爆弾づくりに動員された女学生たちを描いた音楽朗読劇「女の子たち風船爆弾をつくる Girls, Making Paper Balloon Bombs」の脚本を手がけ、小説『女の子たち風船爆弾をつくる The Paper Balloon Bomb Follies』(文藝春秋)の刊行を予定している。本展ではそれに関連して、東京宝塚劇場が風船爆弾製造工場として使用されたという歴史から、意図せず戦争に巻き込まれてしまった少女たちをめぐるペインティングが展示される。また、ハナ・クインラン&ロジー・ヘイスティングスは、フィレンツェのブランカッチ礼拝堂にあるフレスコ画からインスピレーションを得た架空のシーンをストリート写真のアーカイヴを使って描き、公共空間における階級や権威といったテーマに迫った取り組みの延長である、クィア・ポートレイトシリーズの新作を発表する。

小林エリカ + ハナ・クインラン & ロジー・ヘイスティングス 展
会期:4月6日(土)~ 5月11日(土)
会場:Yutaka Kikutake Gallery( 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F)
時間: 12:00 ~19:00(5月3日を除く金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:日月祝


4. 宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO(東京オペラシティ アートギャラリー)

「ミケランジェロの言葉」ポスター 1968 ©︎AQUIRAX

宇野亞喜良の全仕事を振り返る、過去最大級の展覧会

日本を代表するイラストレーター、グラフィックデザイナーとして活躍を続ける宇野亞喜良。1960年代の日本で「イラストレーション」「イラストレーター」という言葉を広め、時代を牽引してきた宇野の創作は、イラストレーションにとどまらず、ポスター、絵本、書籍、アニメーション映画、絵画、舞台美術など、現在に至るまで多岐におよんでいる。

本展は、学生時代に描いたスケッチやクロッキーなど創作初期の作品ををはじめ、1950年代の企業広告、1960年代のアングラ演劇ポスター、絵本や児童書、近年の俳句と少女をテーマとした絵画などの原画や資料等900点超で宇野の全仕事を網羅する、過去最大規模の展覧会だ。宇野による原画の数々も見どころ。確かな描写力が分かる繊細で華麗なデッサンや、校正紙に書き込まれた細やかな指示にみられるデザインへのこだわりなどを直に見ることができる。

宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
会期:4月11日(木)~ 6月16日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー( 東京都中央区京橋1丁目7-2 )
時間: 10:00 ~19:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)


5. 東 京都 展 The Echoes of East Kyoto(WHAT CAFE)

50作家約100点が一堂に。京都のアートシーンの力を体感

近年、京都を拠点にする新進作家たちが次々とアートシーンで活躍し、注目を集めている。その理由には、複数の美術大学を擁することによる作家同士のゆるやかなつながりや、ARTISTS’ FAIR KYOTOをはじめとした先進的な試み、現代アートギャラリーやアートホテル、アートカフェなどを通じて都市にアートを育む土壌が生まれた結果と言えるだろう。

現代美術家として活動する傍ら、京都芸術大学大学院で後進の指導にもあたる鬼大名(鬼頭健吾、大庭大介、名和晃平)。彼らの呼びかけに集まった京都の若手を中心に、鬼大名をはじめとする教師陣も加わった、50作家による約100点を展示する。京都のアートシーンをつぶさに確認できる、圧巻の展示を楽しんでもらいたい。

出品作家は、赤松加奈、東 慎也、新井碧、 飯田美穂、家田実香、池田光弘、今西真也、大上巧真、大澤巴瑠、大庭大介、表 良樹、神谷徹、川村摩那、木津本 麗、鬼頭健吾、木村舜、熊谷亜莉沙、倉敷安耶、小宮太郎、品川美香、新 正春、 新宅加奈子、神馬啓佑、髙戸蒼月花、高橋知裕、竹内義博、田村琢郎、椿 昇、椿野成身、富田直樹、長田綾美、名和晃平、西垣肇也樹、廣田郁也、藤本純輝、古田充、松岡柚歩、松村咲希、三浦光雅、御村紗也、ミヤケマイ、ヤノベケンジ、大和美緒、山中雪乃、山本捷平、油野愛子 、吉岡寛晃、米村優人、R E M A、和田 直祐 。

東 京都 展 The Echoes of East Kyoto
会期:4月20日(土)~ 5月7日(火)
会場:WHAT CAFE(東京都品川区東品川2-1-11)
時間: 11:00 ~18:00(5月7日は17:00まで)
休館日:無休

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