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  • 2024.04.08

ケリング創業者の孫がクリスティーズの役員に。世界的ラグジュアリーグループに代替わりの動き?

グッチやサンローランなど、数多くのラグジュアリーブランドを擁する世界的ファッションコングロマリット、ケリングの創業者であるフランソワ・ピノーの弱冠26歳の孫が、3月26日に祖父に代わりクリスティーズの取締役に就任したとフィナンシャル・タイムズ紙が報じた。

ニューヨークのクリスティーズはロックフェラー・センターにある。Photo: Roy Rochlin/Getty Images

1766年にロンドンで設立されたオークションハウス最大手、クリスティーズの幹部になったのは、ケリングの創業者でARTnewsの選ぶTOP 200 COLLECTORSの一人でもあるフランソワ・ピノーの孫、フランソワ・ルイ・ニコラ・ピノー。クリスティーズは、1998年にピノー家の持ち株会社であるアルテミスに買収された。

2003年に創業者のフランソワ・ピノー(87歳)が一線を退き、現在アルテミスとケリングは息子のフランソワ=アンリ・ピノー(61歳)が率いている。フランソワ=アンリの兄弟がアルテミス社の監査役を、息子のフランソワ・ルイ・ニコラがケリングのプロダクト・マーケティング・マネージャーを務めるなど、典型的な同族経営だ。

グッチやサンローランなどを傘下に持つケリングのオーナーであるピノー家は、フランスを代表する裕福な一族として知られる。またアルテミスは、昨年ハリウッドのタレントエージェンシー大手、クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシーの株式の過半数を取得するなど、新たな動きを見せている。

そんな中でフランソワ・ルイ・ニコラ・ピノーがクリスティーズの取締役に就任したことは、ケリング内で新しい世代へのバトンタッチが始まり、この同族経営企業が重要な局面を迎えていることを窺わせる。

昨年のクリスティーズの総売上高は62億ユーロ(約8800億円)と、ピノー家の投資先としては小ぶりだ。しかし、1万点を超える膨大な現代アートのコレクションを所有する一族にとって、アート界におけるさらなる影響力を与える存在だとも言える。

ピノー家は、パリのブルス・ドゥ・コメルスや、ヴェネチアのパラッツォ・グラッシといった美術館を設立し(どちらも安藤忠雄が歴史的建造物を改修)、そのコレクションを展示している。(翻訳:石井佳子)

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