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  • 2024.04.10

2023年は草間彌生がトップ! オークション売り上げの最新レポートが示す女性たちの躍進

現代アートやコレクションの保険で知られるイギリスの大手保険会社、ヒスコックスオークションによるアート販売の最新レポートを発表。ぞれによると、2023年は草間彌生が2022年に1位だったデイヴィッド・ホックニーを抑えてトップの座に輝いた。

2023年のオークション売り上げで首位となった草間彌生。Photo: Andrew Toth/Getty Images

このほど発表されたヒスコックス・アーティスト・トップ100レポートによると、2023年のオークション売り上げは草間彌生が8090万ドル(約122億8000万円)で1位となった。2位はデヴィッド・ホックニーで5030万(約76億3000万円)、3位は奈良美智で3600万ドル(約54億6000万円)だった。

2023年に落札された草間の作品の中で最も高額だったのは、クリスティーズ香港のオークションで約1000万ドル(約15億1700万円)で販売された絵画《A Flower》(2014)だった。ヒスコックスのアート&プライベート・クライアント部門責任者であるロバート・リードは声明で、「日本の現代アートの草分け的存在である草間彌生は現在95歳ですが、最も影響力のある女性アーティストの一人です」と評した。

2023年は特に女性の現代アーティストの好調が目立った。大手オークションハウスによると、その市場は安定しており、オークションで取り扱われる女性の現代アーティストの数は、2019年の261人から2023年には728人と、過去5年間で179%増加した。また、2023年のコンテンポラリー作品の売り上げに占める女性アーティストの割合は32%で、前年の29%から上昇した。

さらに2023年は、総売り上げ額という点では女性の現代アーティストは8%減となったものの、販売ロット数は21%増加した。一方の男性アーティストの総売り上げ額は20%減少しており、女性アーティストの市場は、男性アーティストの市場よりもはるかに回復力があると見ることができる。

優良オークションハウスにおける現代美術の総売り上げ高は17%減少したが、それでも新型コロナウィルスのパンデミック以前の数字を26%上回っている。しかし、買い手は確実な投資に固執しているようだ。制作されてから2年以内にオークションに出品された、市場が「ウェット・ペイント」と呼ぶ作品については、2023年は36%減少した。加えて、45歳以下のアーティストの作品の販売は前年比43%減となっており、若手アーティストが実績のある作家に押され気味という状況が浮かび上がった。

今回のレポートについてロバート・リードは、「ご覧のように、美術品のトレンドはかなりのスピードで動いています。作品を購入し、利益のためにすぐに販売するフリッピングは続いているが、儲けは少なく、前回のレポート以来、市場はかなり軟化しています。これは、特に作品の販売額が大幅に下がっている若手アーティストにとっては難しい時代です」とコメントしている。(翻訳:編集部)

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