ボスコ・ソディ、ダニエル・アーシャム、ジャン=ミシェル・オトニエル、目、名和晃平etc. 国内外の人気作家による50作品が大集結! 高級分譲マンション「Brillia Tower 堂島」をレポート
大阪・堂島に竣工したばかりの超高層複合タワー「ONE DOJIMA PROJECT」。その一角にあるタワマン「Brillia Tower 堂島」は、住宅共用部等に実に50点を超えるアートが配された高級分譲マンションだ。作品を監修したのは、N&Aの南條史生。住人たちのみに開かれたアートあふれる空間をレポートする。
2024年5月、大阪・堂島に竣工した超高層複合タワー「ONE DOJIMA PROJECT」。梅田と中ノ島をつなぐ、大阪の中心エリアに建設された地上49階建ての同施設は、大阪での営業が初となるフォーシーズンズホテルと、東京建物が分譲するマンション「Brillia Tower 堂島」によって構成されている。
2022年4月に大阪中之島美術館が開館し、隣接する国立国際美術館と合わせて「芸術の街」としての認識が高まりつつある中ノ島まで徒歩10分もかからないBrillia Tower 堂島もまた、アートを生活のなかに取り入れる提案がなされている。キュレーター・美術評論家である南條史生を監修に迎え、50点を越えるアート作品が住宅共用部等に展示されているのだ。
展示エリアは多岐にわたる。目[mé]が手がけた波を彷彿させる大型の彫刻作品《景体》と広大な吹き抜けに浮かぶユ・ジョーディ・フゥの《Cloud Voyage》が対話するレジデンスの入り口、1Fのグランドエントランスを抜け、2Fに上がると、宮永愛子やできやよい、フランシス真吾や津上みゆきなどによる18点もの作品が並ぶギャラリーラウンジとギャラリーコリドーが。27Fのラウンジとボードルーム、フィットネスルームにも、能條雅由や金氏徹平らの作品がゆったりと配置され、43Fのバー&ラウンジ、ギャラリーコリドー、ライブラリーでは、ダニエル・アーシャムや落合陽一らの競演が楽しめる。リュウ・ジェンホァやボスコ・ソディら世界的に注目される作家たちの立体作品に迎えられる49Fのペントハウスとルーフトップデッキ、さらに屋上のスカイデッキには経年変化も楽しみな古橋まどかと小林且典の彫刻が置かれている。建物外構にも、名和晃平とジャン=ミシェル・オトニエルによるパブリックアートが歩行者たちの目を楽しませる、といった具合だ。
共用部の空間デザインを手がけたピエト・ブーンと協働しながらキュレーションを行なったという南條は、「個人の生活に目を向け、一人ひとりの日常生活に寄り添うアート」を意図したという。たとえば、朝出かける時間と、夕方戻ってくる時間で見え方が異なる鑑賞体験は、Brillia Tower 堂島でしか得られないものかもしれない。また、バラエティ豊かな作家セレクトには、国際ビジネス都市としての発展、インバウンド化が進む大阪の様相も感じられる。
展示された作品のなかには、今回のレジデンスのために制作されたコミッションワークもふくまれている。この近くのエリアが出生地であるというペインターの流 麻二果は船の航路を示す標識からタイトルを取った「澪つ串」という作品を制作。海とつながる「島」である堂島の歴史に思いをはせながら、船をモチーフとして設計された同施設の「安全な航海」を願ったという。
今回の取り組みの特徴は、美術館のようなパブリックに開かれた空間でもなく、自宅の収蔵品のような完全にプライベートな空間でもない、集合住宅の共用部分にアートが設置されていることにある。そこに住む人たちが長い時間軸のなかで、どんなふうに作品と対話し、関係性を築き上げていくのか。寄り添うアートの価値をつくりあげるのは、生活する人たちなのかもしれない。
Text: Shinya Yashiro Edit: Maya Nago