バスキア初期の傑作に最高92億円の予想! 5月のオークションはバスキア作品が目白押し
ジャン=ミシェル・バスキアの《The Italian Version of Popeye Has Pork in His Diet》(1982)が、5月の21世紀美術イブニングセールに出品されるとクリスティーズが発表した。これに先立ち、フィリップスなどでも初期作品の出品が明らかになっている。
5月のクリスティーズ・ニューヨーク21世紀美術イブニングセールで目玉になると見られるバスキア作品《The Italian Version of Popeye Has Pork in His Diet》は、木を組んでカンバスを張った支持体を用いた一連の作品の1つで、予想落札価格は3000万ドル(約46億円)。
約150センチメートル四方の画面いっぱいに図形や数字、取り消し線を引いた文字列が広がり、バスキアのトレードマークである王冠が3つ描かれている。また、スポーツやコミックブック、さらには頭頂部のない頭や切断された足といった解剖学的な要素も散りばめられている。
クリスティーズで20世紀・21世紀美術担当チェアマンを務めるアレックス・ロッターは、こう説明する。
「1982年に制作されたこの作品はバスキア初期の傑作の1つで、シンボルやテキスト、肖像が巧みに組み合わされています。歴史、スポーツ、メディアから受けた影響を着想源としたさまざまな要素がぎっしり詰まった構成になっているので、描かれているものを飽きることなく味わえます。きっと一生楽しめるでしょう」
クリスティーズに加え、サザビーズとフィリップスでも5月のセールで高額のバスキア作品の出品が予定されている。オークション市場はこのところ弱含みだが、その状況でもバスキアというブランドがいかに強力であるかの証明と言えるだろう。
サザビーズが出品するのは、1984年にバスキアとウォーホルがコラボレーションした無題の作品。昨年パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンで行われた「バスキア×ウォーホル Painting 4 Hands」展に展示されたもので、予想落札価格は1800万ドル(約28億円)。
一方のフィリップスでは、人類学者フランチェスコ・ペリッツィのコレクションから初期作品3点の出品を予定している。いずれも、80年代初頭にバスキアの最初のディーラーだったアニーナ・ノセイから購入されたもの。
ニューヨークのフィリップスでは大型作品の《Untitled (ELMAR)》(1982)と《Untitled (Portrait of a Famous Ballplayer)》(1981)が出品される予定で、予想落札額はそれぞれ4000〜6000万ドル(約61億〜92億円)と650万〜850万ドル(約10億〜13億円)。また、5月31日にフィリップス香港で出品予定の《Native Carrying Some Guns, Bibles, Amorites on Safari》(1982)の予想落札価格は、1200〜1800万ドル(約18億〜28億円)に設定されている。(翻訳:石井佳子)
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