6月開催のアート・バーゼルには291ギャラリーが参加。最先端のアートを紹介する新セクションも
6月19日から22日に開催される世界最大級のアートフェア、アート・バーゼルが出展ギャラリーを発表した。今回は、昨年から4軒増となる291ギャラリーが出展する。

メッセ・バーゼルで6月19日から22日(プレビューは6月17日と18日)まで開催される世界最大級のアートフェア、アート・バーゼルに参加する291ギャラリーが発表された。今年のフェアでは、過去5年以内に制作されたアート作品に焦点を当てた新たなプログラムも導入される。
291ギャラリーのうちメインセクションの「ギャラリーズ」に出展するのは、ガゴシアン、ハウザー&ワース、Pace、デイヴィッド・ツヴィルナー、タデウス・ロパック、ホワイト・キューブなどを含む231軒。ロンドンのアルカディア・ミッサと、ロサンゼルスとニューヨークに拠点を置くフランソワ・ゲバリーの2ギャラリーは初出展となる。また、これまで小規模セクションに参加していた北京コミューン、エマリン、ハント・カストナーを含む5ギャラリーも今回は「ギャラリーズ」に参加することが決まっている。
また、20世紀のアーティストに焦点を当てた企画展「フィーチャー」と、将来性のある作家を個展形式で紹介する「ステートメント」のセクションでは、ロサンゼルスに拠点を置くアナット・エブギとロンドンにスペースを構えるギニー・オン・フレデリックなど、16ギャラリーが初出展を果たす。
新セクション「プレミエール」では、10のギャラリーが3名以下のアーティストによって過去5年以内に制作された作品を展示する。このセクションは、歴史的作品に焦点を当てる「フィーチャー」や新進アーティストのソロ展示を行う「ステートメント」などのセクションを補完する役割を担うという。バーゼル初出展となるロンドンのエデル・アッサンティはロニー・ホリーのソロブースを出展し、フランクフルトに拠点を構えるジャッキー・シュトレンツは2023年に亡くなったアーティスト、リン・メイ・サイードの作品を展示する。また、カイロのジプサム・ギャラリーは、沿岸部と火山地帯における浸食と再生をテーマにしたディミトラ・カラマンダスとバシム・マグディの展示を、そして、マニラとニューヨークに拠点を置くシルバーレンスは、タロイ・ハヴィニとパトリシア・ペレス・ユスタキオというアジア太平洋のアーティスト2名による、クラフトと記憶に関する展示を行う。
アート・バーゼルのディレクターを務めるマイケ・クルーゼはプルミエール新設について、「最もエキサイティングな作品のための新鮮なプラットフォームです。このセクションでは、芸術実践と世界全般における現在のエネルギーとイノベーションが反映されることでしょう」と語り、こう続ける。
「プレミエールは、現代アートにおいて今まさに起きていることを捉えるアーティストの単独展示や、特定のコンセプトのもと、最大3名のアーティストに焦点を当てる展示を実施するなど、精密にキュレーションされたプロジェクトを前面に打ち出す場です。このセクションは、最先端の作品と地位が確立された作品の架け橋となり、コレクター、キュレーター、そして来場者が、今日のアートシーンを積極的に形作るアーティストと出会うことのできる機会を提供します」
バーゼルの街を展示スペースにする「パルクール」セクションを取りまとめるのは、昨年に引き続きニューヨークのスイス・インスティテュートのディレクター、ステファニー・ヘスラーだ。同セクションでは「セカンド・ネイチャー」というタイトルのもと、「自然と人工の間の境界が次第に曖昧になっていく様子を探求する」ことを目指す。昨年同様、ヘスラーは、バーゼル市内のあらゆる場所にアーティストに作品を展示してもらうことで、「フェアと都市との関係に新たなレイヤーを加える」という。パルクールの詳細は、後日発表される予定だ。
さらに、フェア会場の外にあるメッセ・プラッツを舞台にサイトスペシフィックなインスタレーションを展示するプログラムは、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーズにキュレーター・アット・ラージとして所属するナタリア・グラボウスカが担当し、カタリーナ・グロッセが制作する予定。
2024年のアート・バーゼルは、数カ月にわたる市場調整期を経て、市場が安定化したことを示唆するものとなった。クルーゼは、9万1000人という昨年の動員数を挙げ、今年のアートフェアも、トランプ政権がもたらしている不確実性とグローバル・アート市場への影響を乗り越えることができるはずだと楽観的な見方を示した。
「昨年は、熱心なコレクターと機関が引き続き強く関与していることを示しました。全ての市場セグメントで力強い売上を記録し、その勢いは2025年も続くと予想しています。世界経済の変動とアート界への影響を意識しつつも、ギャラリーとアーティストの意欲、そしてコレクターの熱意は変わらず続いています。意義深いつながりと心躍る発見の、また新たな1年となることを楽しみにしています」(翻訳:編集部)
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