古代都市ポンペイの壁に自分の名前を落書きした男を逮捕! 修復費用は犯人が負担
世界遺産の古代都市「ポンペイ」の城壁に自分の名前を刻んだ男が逮捕された。ポンペイ考古学公園の所長は、これを「野蛮な行為」として非難している。
イタリアの古代都市ポンペイの遺跡には、当時の人々による壁画が遺されているが、ある観光客が同遺跡にある「セイの家」の漆喰の壁に自分の名前を刻んでいるところを発見され、捕まった。修復費用は、イタリアの新法により犯人が負担することになる。
遺跡に対する破壊行為であるとして多くの怒りを買ったのは、カザフスタンから来た男。この男は、ポンペイの政務官であったルキウス・ケイウス・セクンドゥスが所有していたと思われる古代の別荘の一部、「セイの家」の漆喰に「Ali」という文字を彫ったと報じられている。イタリア当局によれば、ジェンナーロ・サンジウリアーノ大臣が導入した新法に基づき、この落書きを除去するのに必要な修復費用は、この男が負担することになる。
ナイル・デルタ沿いのエジプト風の風景の中に、野生の動物が描かれた豪華なフレスコ画で埋め尽くされた四層吹き抜けのアトリウムとインプルビウムからなる「セイの家」は、サムナイト時代後期(紀元前2世紀)の邸宅の珍しい例だ。このフレスコ画のテーマは、西暦79年に都市が破壊されるまでに流行したイシス信仰に関連していると考えられている。
デイリー・メール紙の取材に対し、ポンペイ考古学公園のガブリエル・ズクトリーゲル所長は、この手の事件を「野蛮な行為」と非難した上で、「省庁の協力者と、迅速に介入したアレス社、そして警察の迅速な対応にも感謝する」と述べている。
古代遺跡を傷つけて逮捕されたのは、今回が初めてではない。昨年には、ある観光客がローマのコロッセオに自分と恋人の名前を刻んで捕まっている。観光シーズンのピークを迎えるにあたり、イタリア当局は歴史的建造物への監視を強化していくものと思われる。
from ARTnews