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今週末に見たいアートイベントTOP5: 鴻池朋子の壮大な創作の軌跡を辿る、マーク・マンダースが新作を発表

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

鴻池朋子展 メディシン・インフラ(青森県立美術館など)より、制作中の風景 ©Tomoko Konoike

1. 川内理⾹⼦ 個展『Under the sun』(アニエスベー ギャラリー ブティック)

©︎Rikako Kawauchi, courtesy of the artist and WAITINGROOM Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)©︎Rikako Kawauchi, courtesy of the artist and WAITINGROOM Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)

「ピクニック」から考察する行為としての食

食への関心を起点に、不確かで曖昧な身体と思考のつながりをテーマとしたドローイングやペインティングをはじめ、針金やネオン管などさまざまなメディアを使って作品を制作してきた川内理⾹⼦の個展 。

ペインティングとドローイングを中心に構成される本展は、⼈々が同じ⽬線で座り、⾷べ物を格差なく共有し、⾃然の環境に適応しながら、無防備な状態で⾝体と精神をむき出しにして⾷事を楽しむ「ピクニック」という体験を、⽂化、歴史、社会の階層といった視点から考察する。また、服を制作する前に⾊や素材の質感、仕上がりを確認するために使⽤されるアニエスベーの布地(スワッチ)を使った作品も展⽰する。

川内理⾹⼦ 個展『Under the sun』
会期:6月22日(土)~ 7月21日(日)
会場:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南青山5-7-25-2F)
時間:12:00 ~19:00
休館日:月曜(7月15日は除く)

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2. マリオ・ガルシア・トレス 「La Paradoja del Esfuerzo」(タカ・イシイギャラリー)

Mario García Torres “La Paradoja del Esfuerzo”, installation view at Taka Ishii Gallery, Jun 28 – Jul 27, 2024. Photo: Kenji Takahashi

マリオ・ガルシア・トレスが記念碑的シリーズの新作を発表

1960〜70年代のコンセプチュアル・アートと関連させながら美術史と個性を探求するアーティスト、マリオ・ガルシア・トレスの個展。トレスはビデオ、サウンドインスタレーション、絵画、彫刻、ドローイングなど、多様な媒体を使用し、詩的で物語的なアプローチをとることで、私たちが今日直面しているより広範な問題に対する新たな考察を促している。

本展は、通常はコピー機などに使われる微細な粒からなるトナーをキャンバスの上に流し込んで制作したガルシア・トレスの記念碑的シリーズ「La Paradoja del Esfuerzo(ラ・パラドハ・デル・エスフエルソ:努力のパラドックス)」の新作22点を披露する。このシリーズは再現不可能なアクシデントをはらんでおり、動きと周囲環境の関係を交渉し、粒子の漂流のわずかな変化を捉える。これは時間、反復、間違いや失敗に関連する考えの擁護など、作家のキャリアを通しての多くの関心を内包しているという。

マリオ・ガルシア・トレス 「La Paradoja del Esfuerzo」
会期:6月28日(金)~ 7月27日(土)
会場: タカ・イシイギャラリー(東京都港区六本木6-5-24 complex665-3F)
時間:12:00 ~19:00
休館日:日月祝


3. ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム(パナソニック汐留美術館)

ポール・ケアホルム 《PK 24》 1965年 ステンレス、籐、革 織田コレクション/北海道東川町蔵 撮影:大塚友記憲

デンマークの巨匠、ポール・ケアホルムの伝説的家具が集結

「家具の建築家」とも称され、現在では、黄金期といわれる20世紀中期のデンマークにおける重要なデザイナーの一人であるポール・ケアホルム(1929-1980)。素材の特性をいかし、ミニマリズムを極めた家具デザインは、不朽の名作として高く評価されている。

本展は、長年にわたり椅子研究と収集を続けてきた東海大学名誉教授、織田憲嗣のコレクションを中心に構成する。ケアホルムの代表的な作品を網羅しているほか、20世紀に制作された、デザイン性あふれる北欧の家具や日用品、関連資料なども見ることができる。また、展示構成は世界的に活躍する建築家、田根剛(ATTA)が手掛けた。一つ一つの構造やディテールに焦点を当てるとともに、収集家である織田の視線を紹介しながらケアホルムデザインの美に迫る。7月20日(土)以降の土日祝は予約制。

織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展 時代を超えたミニマリズム
会期:6月29日(土)〜 9月16日(月・祝)
会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1)
時間:10:00 ~18:00(7~9月の第1金曜、9月13・14日は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:水曜(9月11日は除く)、8月13日(火)〜16日(金)


4. Gallery selection|マーク・マンダース、トーマス・ルフ、杉本博司、ユアサエボシ(ギャラリー小柳)

Mark Manders, Day Scene, 2023, painted wood, painted epoxy Photo: Peter Cox © Mark Manders / Courtesy of Gallery Koyanagi

マーク・マンダースが新作を披露。4作家の表現が響き合う

本展では日本初公開となるマーク・マンダースの新作彫刻のほか、NASA の探査船が撮影した火星の画像を素材とするトーマス・ルフの《ma.r.s》、杉本博司が映画1本分の時間を1枚の写真に収めた《劇場》、ユアサエボシが今年3月に国立西洋美術館で発表した抽象画が展示される。

中でも見所はマーク・マンダースの彫刻作品だ。頭部の断面の背後に、緑に近い青色の塗料が使われている。マンダースは、それを言葉では定義できない色として、時に自作の「Fake Newspapers(架空の新聞)」と組み合わせ、空や海などの風景として作品に登場させている。

Gallery selection|マーク・マンダース、トーマス・ルフ、杉本博司、ユアサエボシ
会期:7月4日(木)~ 8月21日(水)
会場:ギャラリー小柳(東京都中央区銀座 1-7-5-9F)
時間:12:00 ~19:00
休館日:日月祝、8月13日(火)~17日(土)


5.鴻池朋子展 メディシン・インフラ(青森県立美術館など)

制作中の風景 ©Tomoko Konoike

旅を続ける作家、鴻池朋子の壮大な創作を辿る

北東北(秋田県)出身の現代作家、鴻池朋子の新作を紹介する大規模個展。鴻池は東日本大震災以来、地球の振動を新たな画材と感じ、旅をしながら作品制作してきた。鴻池にとってはパブリックアートやアートプロジェクトも「絵」の一部となる。本展では昨年から東北でスタートした鴻池が各地を巡り、縁のあった場所に自作を展示保管してもらう長期的なプロジェクト《メディシン・インフラ (薬の道) 》をもとに作られる圧倒的なスケールの作品や味わい深い指人形といった作品の数々を展示する。

鴻池は、本展を通して、観客に「メッセージや問いを投げかけるのではなくもう自分の体しかない、というギリギリのところまで連れだしたい」と語っている。観客の体がその場に晒された時、アートが人間の本能的なものに向けて豊かに染み渡るメディシン (薬草) のように機能することだろう。また、サテライト会場として、国のハンセン病療養施設である松丘保養園社会交流会館にも作品が展示される。

鴻池朋子展 メディシン・インフラ
会期:7月13日(土) ~ 9月29日(日)
会場:青森県立美術館(青森県青森市大字安田近野185)とその周辺野外、国立療養所松丘保養園 社会交流会館(青森県青森市大字石江平山19)
時間:青森県立美術館 9:30~17:00 (入館は30分前まで)社会交流会館 10:00~16:00
休館日:青森県立美術館 7月22日(月)、8月13日 (火)26日(月)、9月9日(月) 24(火)、社会交流会館 月曜

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