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  • 2024.07.19

今週末に見たいアートイベントTOP5: ヨーゼフ・ボイスと国内6作家の「対話」、ヤノベケンジが岡本太郎記念館をジャック!

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

Lines(ラインズ)—意識を流れに合わせる(金沢21世紀美術館)より、[参考画像]エンリケ・オリヴェイラ《Corupira》2023 ©Henrique Oliveira

1. Lines(ラインズ)—意識を流れに合わせる(金沢21世紀美術館)

エル・アナツイ《パースペクティブス》2015 © El ANATSUI 金沢21世紀美術館蔵 photo: KIOKU Keizo

16作家の作品で探るアートにおける「線」の意味

本展は、気鋭の人類学者であり社会科学者のティム・インゴルドの著書「Lines」から着想を得た。「自然の中から見出す手がかりを、どこまでも追求するアーティストらによってもたらされるもののほとんどが線に沿って進んでいる」とするティム・インゴルドの考えを参照し、それらを探求・実践する16組の作家による作品35点を集めた。

会場には、エンリケ・オリヴェイラ の《死の海》やエル・アナツイ の廃材を使ったタペストリー作品《パースペクティブス》などの大作が並ぶ。ほか展示作家は横山奈美大巻伸嗣 、ジュディ・ワトソン、マーク・マンダース、サム・フォールズなど。会期中には、出品作家のマルグリット・ユモーの作品から、蜂の生態について深く知るレクチャーとニホンミツバチの巣箱の見学会(9月7日14:00〜15:30)や、出品作家の八木夕菜による福井県小浜市と京都を繋ぐ「鯖街道」についてのレクチャー(10月7日)など、多様なイベントが開催されている。

Lines(ラインズ)—意識を流れに合わせる
会期:6月22日(土)〜10月14日(月・祝)
会場:金沢21世紀美術館
時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休館日:月曜日(休日の場合は翌日)

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2. CLAMP展(国立新美術館)

約800点の原画が集結。創作集団「CLAMP」の全貌に迫る

少女から青年漫画まで、幅広いジャンルにおいて多様な作品を世に送り出してきた女性4人の創作集団CLAMPによる原画展。デビュー作『聖伝-RG VEDA-』から最新作『カードキャプターさくら クリアカード編』までの23作品を網羅した約800点のカラー、モノクロ原画を展示する。

本展は7つの展示エリア「COLOR」「LOVE」「ADVENTURE」「MAGIC」「PHRASE」「IMAGINATION」「DREAM」で構成される。最終章の「DREAM」エリアでは本展のために描き下ろしたカラーイラスト原画を展示。作品を通して年齢・性別・国を超えて読者たちを魅了し、届けてきたメッセージを改めて紐解く。

(c)CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD. (c)CLAMP・ShigatsuTsuitachi CO.,LTD./CLAMP展製作委員会

CLAMP展
会期:7月3日(水) ~ 9月23日(月・祝)※7月3日~5日は予約制
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)
時間:10:00 ~18:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:火曜


3. ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と(岡本太郎記念館)

ヤノベケンジが生み出す芸術の大爆発

ロボット人形やネコなどユーモラスな形態に社会的メッセージを込めた作品群で知られるヤノベケンジが、岡本太郎記念館をジャックする。宇宙船「LUCA号」に乗って地球に到達した「SHIP’S CAT/宇宙猫」が無機質だった地球に生命を着床させた、という滑稽ながらも壮大な物語から構想。岡本太郎が唱えた「芸術は爆発だ」のテーマを「猫大爆発」という妄想に乗せて展開する。

本展のメインとなるのは宇宙服を着たネコ「SHIP’S CAT」が縦横無尽に駆け回る《BIG CAT BANG/猫大爆発》。現在東京・銀座の「GINZA SIX」の吹き抜けに、全長9メートルにおよぶ《BIG CAT BANG》吊るされているが、本展ではその背景にあるストーリーとディテールが丁寧に語られる。銀座とは180度逆のアプローチで展開されているので、一緒に楽しんでもらいたい。

ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と
会期:7月12日(金)~11月10日(日)
会場:岡本太郎記念館(東京都港区南青山6-1-19)
時間:10:00~18:00(入館は30分前まで)
休館日:火曜(8月13日は除く)


4. 伊藤存 + エレナ・トゥタッチコワ 「湖といえば、泳ぐ電子の軌跡」(MtK Contemporary Art)

エレナ・トゥタッチコワ 「上流へ」 ”Upstream” Watercolour on canvas 65.2 × 80.3 cm 2024 © Elena Tutatchikova

交流を重ねる2人が対話と探索を通して生まれる世界

京都を拠点に活動する現代美術作家の伊藤存エレナ・トゥタッチコワ。2023年秋に、伊藤存がトゥタッチコワが主催したワークショップ「秋の高瀬川を歩く」に招待され参加したことをきっかけに、両作家は対話や探索を重ねてきた。本展は、こうした新しい遊びを発明するような2人のやりとりの一つとして生まれた。

伊藤存は「砂の上のドローイング」と名付けた刺繍作品のシリーズと、習作のドローイングを展示。エレナ・トゥタッチコワは実際に歩いた場所の記憶や、遠く離れた場所と人へ巡らせた思考の軌跡をなぞるように作られた新作の絵画やセラミック、ドローイングの作品を発表する。これらの作品はそれぞれの波長と環世界を持ち、展示室に一つの生態系を築いていく。

伊藤存 + エレナ・トゥタッチコワ 「湖といえば、泳ぐ電子の軌跡」
会期:7月15日(月・祝)~ 8月3日(土)
会場:MtK Contemporary Art(京都府京都市左京区岡崎南御所町20-1)
時間:10:00 ~18:00
休館日:日曜


5. ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ 展(GYRE GALLERY)

ヨーゼフ・ボイス作品をガラスケースに収めた「ヴィトリーヌ」。

日本の6作家とヨーゼフ・ボイスの「対話」

ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)は戦後ドイツ美術の第一人者であり、脂肪やフェルトを素材とした彫刻作品の制作、アクション、対話集会、政治や環境問題への介入など多様な場で活躍したことで知られる。本展は、戦後日本の現代作家によるダイアローグ形式の作品構成によって「いまなぜヨーゼフ・ボイスなのか」という問い掛けを行う。

ボイスの対話相手として、ボイスと深い交流のあったコンセプチュアル・アーティストで、「カスヤの森現代美術館」の設立者の若江漢字のほか、畠山直哉、磯谷博史、加茂昂、AKI INOMATA、武田萌花といった日本を拠点に活動するアーティストが参加。彼らがボイスの現代性を問い掛け、現代におけるアポリア(解決の糸口を見いだせない難問)を浮かび上がらせる。

ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ 展
会期:7月17日(水)~9月24日(火)
会場:GYRE GALLERY (東京都渋谷区神宮前5-10-1)
時間:11:00~20:00
休館日:無休

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