ARTnewsJAPAN

障がいをもつアーティストの才能を称える国際アワード「HERALBONY Art Prize 2024」受賞者が決定!

障がいをもつアーティストを対象にした国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024(ヘラルボニー・アート・プライズ)」が初めて開催され、応募作品総数1973点の中から浅野春香の《ヒョウカ》がグランプリに選ばれた。各受賞作家と最終審査進出作家58人による展覧会「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」が8月10日から丸の内の三井住友銀行東館で行われる。

株式会社ヘラルボニーが主催する国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024(ヘラルボニー・アート・プライズ)」は、障がいをもつ国内外の作家の才能を称えることを目的に、今年初めて開催された。

審査員を務めたのは、フランス・パリで自身の名を冠したアール・ブリュット専門ギャラリーを運営するクリスチャン・バースト、金沢21世紀美術館チーフ・キュレーターでへラルボニーのアドバイザーを務める黒澤浩美、アーティストで東京藝術大学長の日比野克彦、LVMH メティエ ダール ジャパン ディレクターの盛岡笑奈の4人。応募は日本を含む世界28カ国から924人、作品総数は1973点にのぼり、1次審査は書類や作品写真、2次は実際の作品で選考が行われた。

グランプリ:浅野 春香 《ヒョウカ》(2024) ポスカ、米袋  96×164cm

グランプリに選ばれたのは、浅野春香の《ヒョウカ》。浅野は20歳で統合失調症を発症後、入退院を繰り返しながら闘病を続けている。絵を本格的に描き始めたのは29歳の時だ。これまで自身に湧き上がる「評価されたい」という欲求を恥ずべきものと捉えていたが、ある人からの「それもあなたの素直な気持ちの現れ」という言葉をきっかけに、ありのままの気持ちで表現するようになったという。《ヒョウカ》は満月の夜の珊瑚の産卵をテーマに、切り広げた米袋に満点の星空や宇宙、満月などのモチーフが緻密に描かれている。同作は母親の胎内にいた頃の情景や、珊瑚の研究者である父親のことなど、作家にとって大切な両親にまつわる事柄からインスピレーションを得た。

浅野には、創作活動を奨励する資金として賞金300万円が贈られるほか、ヘラルボニーと作家契約を結び、今後さまざまなライセンス起用により作品を発信する。

受賞作についてクリスチャン・バーストはこう評価する。

「同心円を描いたどんなに力強い作品でも、それが紙の上のことであるならば、太陽の放射エネルギーにはとうてい匹敵しませんが、この作品は同じような活力を持っているかもしれません。紫がかった色彩を放つこの作品は、まるで急速に芽生えた花のように、細かな点の配列が広がっています。植物の成長において根源的な原動力である太陽の力と、その最も華麗な結果である美の開花が組み合わされています。この幾何学的な萌芽の広がりが、審査員の心をすぐに捉えたのも不思議ではありません」

同アワードではまた、グランプリのほか、企業賞(7人)、審査員特別賞(4人)も選ばれた。

審査員特別賞・クリスチャン・バースト賞:Susan Te Kahurangi King《ntitled, Ref: A20113》
審査員特別賞・日比野克彦賞:S. Proski 《Untitled》
審査員特別賞・黒澤浩美賞:isousin《落書き写真(タイル状の壁)》
審査員特別賞・盛岡笑奈賞:鳥山 シュウ 《ウガンダ(黒)》

グランプリをはじめとする各受賞作家と最終審査進出作家58人による全62点を展示する「HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition」は、8月10日から丸の内にある三井住友銀行東館のアース・ガーデンで開催される。 

HERALBONY Art Prize 2024 Exhibition
会期:8月10日(土)〜 9月22日(日)
会場:三井住友銀行東館 1F アース・ガーデン(東京都千代田区丸の内1-3-2)
時間:10:00 〜18:00

あわせて読みたい