環境活動団体がパリオリンピックとトヨタの関係を批判。フランス中でゲリラ広告キャンペーンを実施
パリオリンピックのオフィシャルパートナーであるトヨタ自動車の二酸化炭素量排出量を問題視するフランスの環境活動団体らが、7月22日から7月25日にかけて、フランス国内の主要5都市に100点以上のゲリラ広告を掲示した。
トヨタ自動車は、パリオリンピックの最高位スポンサーを務めているが、同社の二酸化炭素排出量が世界的に問題視されている。2022年、トヨタは5億7500万トンを排出したが、これは、フランスの国家排出量を上回るほか、世界の二酸化炭素排出量の1.5%を占める数字だ。
パリを拠点とする環境活動団体、Résistance à l'Agression Publicitaire(RAP)とイギリスの活動家アーティスト集団Brandalismはパリオリンピックとトヨタの関係を批判するため、フランスの主要5都市、パリ、リール、リヨン、サンテティエンヌ、ストラスブール、レンヌの100以上のバス停にゲリラ的に広告を掲示した。
広告はイギリスとポルトガルを拠点に活動するアーティスト、ミシェル・タイリッキが制作したもので、そのうちのひとつは、トヨタのロゴが入った金メダルに重油がかけられている様子が描かれている。 作品には皮肉を利かせて、「(トヨタが)2024年オリンピックの最も汚染されたスポンサーであることを誇りに思う」と書かれていた。そのほか、ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》やゴッホの《星月夜》といったパリの美術館に所蔵される名作にトヨタ車と排気公害を描き加えたものもある。
今回の抗議行動について、活動家のソニー・バードは、Brandalismのブログに発表した声明で、「世界が化石燃料からの脱却を進める中で、トヨタは毎年何百万台もの石油自動車を頑なに生産し続けているのです。トヨタを国に例えるなら、その温室効果ガス排出量は、今大会に参加している11カ国を除く全ての国を上回る数字になります」と説明する。
環境活動団体は、トヨタ自動車のほかにも、パリオリンピックのスポンサーにエールフランス航空、鉄鋼メーカーのアルセロール・ミッタルといった企業が名を連ねていることも批判している。英国を拠点とする自動車、航空業などの化石燃料を使う企業の広告やスポンサーシップを阻止するBadvertisingキャンペーンは、3社のスポンサー企業から排出される二酸化炭素量を合計すると、石炭火力発電所8基が1年間稼働する量に匹敵すると算出した。
最新の報告では、今回のオリンピックは記録的な暑さになるとされ、猛暑が予想される競技では選手が倒れたり、最悪の場合、競技中に死亡する可能性があると警告している。報告書を作成した団体のひとつ、FrontRunnersの最高責任者、エマ・ポコックは猛暑の理由について、「化石燃料の燃焼による気候変動が、過去数ヶ月の間に記録的な猛暑をもたらした」とコメントしている。
US版ARTnewsはトヨタの担当者にコメントを求めたが、返答は来ていない。(翻訳:編集部)
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