今週末に見たいアートイベントTOP5: 外苑西通りがアートで繋がる3日間! 戦後のメキシコと日本美術の関係にフォーカス

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ホセ・クレメンテ・オロスコ《家族》1926年|リトグラフ・紙|名古屋市美術館蔵(後期展示)
メキシコへのまなざし(埼玉県立近代美術館)より、ホセ・クレメンテ・オロスコ《家族》1926年|リトグラフ・紙|名古屋市美術館蔵(後期展示)

1. 堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE(PLAY! MUSEUM)

『anan』表紙(11号、1970年)平凡出版 ©マガジンハウス
『anan』中面(13号、1970年) 平凡出版 ©マガジンハウス
『ぐるんぱのようちえん』(1965年)福音館書店
《キエフのかえで林》(1982年)

3セクションで堀内誠一の多彩な仕事を辿る

グラフィックデザイナーから絵本作家まで、多岐にわたり活躍した堀内誠一(1932-87)の才能を「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」の3つのセクションで紹介する展覧会。セクションごとに、有山達也、設計事務所ima、三宅瑠人・岡崎由佳の各組が展示空間をデザインしている。

「FASHION」では、堀内がアートディレクター、グラフィックデザイナーを務めた『anan』創刊号から49号までを特集し、雑誌デザインの革新性を探る。「FANTASY」では、『ぐるんぱのようちえん』などの絵本原画や映像を展示し、ファンタジーの世界を体感できる。「FUTURE」では、110人のクリエイターが選んだ「私の好きな堀内さん」を通じて、未来へのヒントを見出す。また、館内には大きなぐるんぱ像が登場する祝祭広場が併設され、堀内⾃⾝の絵本をはじめ、国内外の名作絵本など約100冊を自由に読むことができるコーナーも。堀内誠一の創造性と多才さを堪能しながら子どもから大人まで楽しめる内容となっている。

堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE
会期:1月22日(水)〜4月6日(日)
場所:PLAY! MUSEUM(東京都立川市緑町3-1)
時間:10:00〜17:00(土日祝は18:00まで、入館は30分前まで)
休館日:無休


2. メキシコへのまなざし(埼玉県立近代美術館)

ホセ・クレメンテ・オロスコ《家族》1926年|リトグラフ・紙|名古屋市美術館蔵(後期展示)
河原温《20 ABR. 68》〈Today〉( 1966-2013)より|1968年|アクリル・カンヴァス|名古屋市美 術館蔵|🄫One Million Years Foundation
芥川(間所)紗織《大木にハサマレタ若い神》1956年|染色・布|世田谷美術館蔵

戦後日本の美術とメキシコの関係を探る

約120点の作品や資料を通じて、戦後日本のメキシコ美術へのまなざしを多角的に検証する展覧会。1955年に東京国立博物館で開催された「メキシコ美術展」は、日本でのメキシコ美術への関心を高める契機となった。本展では、この展覧会に出品したホセ・クレメンテ・オロスコ、ディエゴ・リベラ、ダビッド・アルファロ=シケイロスといったメキシコ壁画運動を牽引した作家や、次世代を代表するルフィーノ・タマヨの作品を展示する。

さらに、メキシコに惹かれた福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温の5人の美術家の足跡をたどり、彼らがどのようにメキシコを捉えたのかを探る。そのほか、埼玉県とメキシコ州との姉妹提携や、初代館長・本間正義の活動を通じた、埼玉県立近代美術館のメキシコ美術コレクションの形成過程も紹介する。

メキシコへのまなざし
会期:2月1日(土) ~ 5月11日(日)
場所:埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1)
時間:10:00 ~ 17:30(入場は30分前まで)
休館日:月曜(ただし、2月24日、5月5日は開館)


3. 内藤礼 「breath」(タカ・イシイギャラリー 六本木・京橋)

内藤礼「母型」2023年 水、ガラス 神奈川県立近代美術館 葉山館
「内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるよう
に存在している 2022」展展示風景 Courtesy of Taka Ishii Gallery /
写真: 畠山直哉
内藤礼「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」2023年
水、ステンレスに塗装 ミュンヘン州立版画素描館「breath」展展示風
景 写真:畠山直哉

2拠点で表現する「色彩(生)」が現れる瞬間の喜び

タカ・イシイギャラリー六本木で始まり、京橋へと重なり合いながら、オスロへとつながっていく内藤礼の個展。内藤は筆や刷毛、スプーン、枝など多様な媒体を用い、人間の本性や絵画の本質を探求している。白い画面を「母型」空間と捉え、色を置くことで大気や光が露わになる作品は、生と死、物、人、動物、植物、大気、光、そして死者や未生の者たちとの親密な関係性を浮き彫りにする。

本展で発表される《color beginning / breath》は、「色彩(生)」が現れる瞬間の驚きと喜びを契機に、人間の無意識を見つめようとした2020年の《color beginning》から始まっている。翌年、京都のMtK Contemporary Artとミュンヘン州立版画素描館で本展と同名の展覧会が開催されている。限りなく多様な色彩と形態が存在する世界において、生と息吹に心を浸透させる内藤の空間を体験できる貴重な機会となるだろう。

内藤礼 「breath」
会期:六本木・2月15日(土)~3月29日(土)、京橋・3月1日(土)〜3月 29日(土)
場所:タカ・イシイギャラリー 六本木(東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F)、タカ・イシイギャラリー 京橋(東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 3F)
時間:11:00 〜19:00
休館日:日月祝


4. リニューアルオープン記念展 What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!(大阪市立美術館)

上村松園 《晩秋》昭和18年(1943) 大阪市立美術館蔵(住友コレクション)

よりすぐりの古今の名品・珍品約250件を大公開

大阪市立美術館が約2年半の改修を終え、リニューアルオープン。記念すべき第1回目の展覧会は、館内の全フロアを特別展会場とし、館蔵品約8700件の中から、絵画、書蹟、彫刻、漆工、金工、陶磁などの分野ごとに選りすぐりの約250件を展示する。

中国・後漢時代の《青銅鍍金銀 羽人》や、江戸時代の勝部如春斎による《小袖屏風虫干図巻》、昭和18年の上村松園《晩秋》などの名品に加え、これまであまり公開される機会のなかった「珍品」も展示されており、美術館の新たな魅力を発見することができる。また、会期中には学芸員によるリレー講座やファミリーデーなどの関連イベントも開催される。

ニューアルオープン記念展 What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!
会期:3月1日(土)~3月30日(日)
場所:大阪市立美術館(大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
時間:9:30〜17:00(入館は30分前まで)
休館日:月曜


5. GAIEN-NISHI ART WEEKEND 2025(外苑西通り沿い)

今週末は外苑西通りへ!20拠点が連携する大イベント

外苑西通りの20のアートスペースが参加し、3日間に渡って繰り広げる回遊イベント。初日の14日には各スペースが営業時間を20:00まで延長し、展覧会のオープニングレセプションなどを開催するほか、WALL_alternativeではアーティストコレクティブ「ARTIFACT」が演出をプロデュースするオープニングパーティーを開催。

15日にはSCOOTERS FOR PEACEで「luka/道木マヤ/根本絵梨子」のトークセッションが開催されるほか、16日にはWALL_alternativeで、5つのアートスペースが選んだ14組のアーティストの映像作品を一挙上映する「ART FILM PROGRAM」が実施される。参加アーティストは布施琳太郎、米澤柊+青柳菜摘、トモトシなど。

GAIEN-NISHI ART WEEKEND2025
会期:3月14日(金)〜16日(日)
場所:WALL_alternative(東京都港区西麻布4丁目2-4)ほか外苑西通り沿い
時間:会場によって異なる

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