「これは誰も楽しむことのできない映画」──ハーモニー・コリンが最新作の予告編を公開

近年はハウザー&ワースに所属するアーティストとしても活動するハーモニー・コリン。彼が監督した最新作『Baby Invasion』の予告編が公開された。3月21日にはニューヨークで没入型上映会が開催されるほか、ミュージシャンのEyedressとイヴ・トゥモア、そしてコリンによるDJセットも行われる予定だという。

ハーモニー・コリンの最新作『Baby Invasion』。Photo: Courtesy of Venice Film Festival
ハーモニー・コリンの最新作『Baby Invasion』。Photo: Courtesy of Venice Film Festival

19歳のときに映画『KIDS/キッズ』の脚本を手がけ、脚光を浴びたハーモニー・コリン。そんな彼の監督最新作『Baby Invasion』がレイヴ会場として知られるニューヨークのノックダウン・センターで先行上映されるにあたって、予告編が公開された。3月21日に開催されるこのイベントでは、作品の没入型上映会が行われるほか、コリンと2024年にFUJI ROCK FESTIVALに出演したEyedress、そしてイヴ・トゥモアによるDJセットも実施される予定だ。

マイアミに拠点を置くクリエイティブ・ラボ兼アートコレクティブである「EDGLRD(エッジロード)」を立ち上げて以来、コリンは一風変わった会場で上映会を開催してきた。EDGLRDとして初めて制作した『AGGRO DR1FT』も、ロサンゼルスのストリップ劇場やブルックリンのナイトクラブ「Elsewhere」で行われてきたほか、2024年には渋谷のライブハウス、WWWとWWWXで上映会とDJイベントを実施している。

アーティストとしても活動しているコリンは、2023年にガゴシアンからハウザー&ワースに移籍しており、『AGGRO DR1FT』の公開に先立って、サーモグラフィの映像を絵の具で再現した絵画の個展を開催した。

『Baby Invasion』は2024年8月のヴェネチア映画祭で世界初上映されており、映画情報メディアのIndieWireは本作をこう評している(もしかすると、『AGGRO DR1FT』を観て同じようなことを思った方もいるかもしれない)。

「この映画の目的はただ一つ。それは、観客を不快な気分に陥らせ、『神様、もう終わりにしてください』、もっと適切に言えば『私を殺してください』と懇願させることだ。最近では、観客を恨む映画監督がいるが、彼もそのうちの一人と言える。これは、誰も楽しむことのできない映画だ」

『Baby Invasion』は赤ん坊の顔をアバターとして使用し、自分たちの身元を隠しながら富裕層や有力者の邸宅に侵入する傭兵の姿が描かれており、前作の『AGGRO DR1FT』と同様に、一人称視点シューティングゲームの構図と論理が応用された作品だ。(翻訳:編集部)

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