収監中に芸術の才能を開花させた詐欺師「令嬢アンナ」がYou Tube番組に出演。「私は詐欺師ではない」
2010年代にニューヨークの富豪たちから莫大な資産を騙し取り、Netflixでドラマ化もされた詐欺師、アンナ・デルヴェイ。彼女は9月18日、アメリカのコメディアンで作家のジウィのYou Tube番組に出演した。
アンナ・デルヴェイことアンナ・ソローキンは、2010年代にマンハッタンの有力者たちに莫大な信託財産があると偽って近づいて会員制アートクラブを設立する名目の投資勧誘などを行い、20万ドル(約2800万円)以上を詐取。デルヴェイは2019年に窃盗、重大窃盗、金融犯罪で4年から12年の実刑判決を受け、2022年に釈放された。収監中だった同年の初頭には自らのアート作品を販売するショーのホストを務め、12月までに34万ドル(4840万円)相当の絵画やデッサンを売り上げた。またショウダ・ライムズがデルヴェイの半生と刑務所での経験を描いたドラマ、「令嬢アンナの真実」がNetflixで配信され、ヒットした。
その強かさは釈放後も健在だ。ロシア出身のデルヴェイはビザ切れの不法滞在者として米国移民関税捜査局(ICE)に拘束され、施設を出所後は足首に監視装置を取りつけられて自宅軟禁下に置かれている。それにもかかわらず、イースト・ヴィレッジの自宅アパートで豪華なディナーパーティーを開いたり、ポッドキャストを始めたり、2023年9月には自宅の屋上でファッションショーを主催したりした。デルヴェイはファッションブランドSHAO New Yorkとコラボし、2024年9月初めに行われたファッションショーではモデルを務めている。また、9月17日にはデルヴェイが出演した、有名人とプロのダンサーが組んでコンテストに挑むテレビシリーズ「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」のプレミア上映が行われた。出演条件にパパラッチを同席させることを提示したデルヴェイにその理由を尋ねると、「ヘアメイクや衣装を無駄にしたくないから」と答えている。
現在33歳になるデルヴェイにインタビューを行ったのは、コメディアンで作家のジウィことジウィ・フムドだ。デルヴェイと同年代のジウィは、インフルエンサーのキャロライン・キャロウェイや料理本作家のアリソン・ローマンといった有名人たちを相手に、常識外れの切り込んだ内容のインタビューをして一躍有名になった。彼女のYouTubeの番組とInstagramライブシリーズはバラエティ番組に編集され、2シーズンにわたって放送された。
インタビューで、ジウィは人を操る方法や、良いカモの見つけ方など、意地の悪い質問をデルヴェイに何度もぶつけた。そのたびにデルヴェイは「わかりません」と繰り返した。だが、ジウィが暗号資産王として名を馳せ、詐欺罪で禁錮25年の判決を受けたFTXの創設者サム・バンクマン・フリード、詐欺罪で11年の禁錮刑を受けた血液検査会社セラノスの創業者エリザベス・ホームズ、史上最大のねずみ講詐欺師、バーニー・マドフの名を挙げ、デルヴェイにとってのヒーローは誰かと尋ねた。すると彼女はホームズが最も共感できると答えた。その理由については、「彼女は(私と同じく)刑事司法制度を通り、服役した白人女性だから」と言った。
また、ジウィが「なぜ罪のない人々を搾取し、詐欺行為に手を染めるに至ったのか」と尋ねると、デルヴェイは「そんなことはなかった」と反論。「私はただ何かを築こうとしていただけなのに、計画通りにいかなかっただけです。もし誰かが私の事件を調べてくれたら、決してゼロサムゲームなどではなく、誰かを永久に何かから奪うような計画などなかったことが分かるでしょう」と続けた。(翻訳:編集部)
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