ペロタンがロンドンの5つ星ホテルに新ギャラリーを来年オープン。「新たな地域への進出」に意欲
世界の7都市にギャラリーを展開するペロタンが、2025年にロンドンで新たなスペースをオープンする。ペロタンは今年2月にもロサンゼルスにギャラリーを開設するなど、グローバルな展開を加速させている。
パリ、香港、ニューヨーク、ソウル、東京、上海、ロサンゼルスに拠点を構えるフランスのギャラリー、ペロタンが、2025年にロンドンで新ギャラリーをオープンすることが明らかになった。
9月30日、オーナーのエマニュエル・ペロタンは、ギャラリーの公式インスタグラムに次のようなコメントを投稿している。
「イギリスの首都にギャラリーを持つことは重要です。イギリスのアートシーンやコレクターと長年にわたり関係を築いてきた私たちは、適切な条件のもとでギャラリーを構える機会をずっと待っていました。今回、格式の高い場所で作家たちに新しい展示プラットフォームやプロジェクトを提供できることになり、とても嬉しく思います」
広さ約350平方メートルの新しいスペースは、ロンドン・メイフェア地区に位置する老舗の5つ星ホテル、クラリッジズ内にある。パリの旗艦ギャラリーからは目と鼻の先のこの場所について、ペロタンは次のように思いを語っている。
「このスペースは、2021年にクラリッジズが企画したダミアン・ハーストの展覧会のために開設されました。一方私は、1990年と1991年にダミアン・ハースト初期の個展を、パリで最初に開いたギャラリーで実施しています。そして、1991年の個展と同時に現代アート誌のフリーズが創刊され、ダミアンの作品が表紙を飾ったのです。それは私のキャリアの中でも特別な瞬間でした。こうした巡り合わせの末にロンドンでギャラリーを開くのは、とても喜ばしいことです」
今年2月末の第5回フリーズ・ロサンゼルスの開催直前、ペロタンは同地に拠点をオープンし、ロサンゼルスが現代アートの中心地として急成長していることを印象づけた。この都市が持つ「音楽、映画、ダンスといったクリエイティブ分野のエネルギー」を活用し、多様なプログラムに反映させたいとするペロタンは、こう語っている。
「この多様性によって、私たちは世界各地の、そしてさまざまなキャリアのアーティストたちの間に相乗効果を生み出すことができます。こうしたつながりは誰にとっても有益です。私たちの役割は、アーティストが長期にわたって成功を収められるよう、知名度を上げていくことです」
1990年にパリでオープンしたペロタンは、2010年代から急速に拡大し、香港(2012年)、ニューヨーク(2013年)、ソウル(2016年)、東京(2017年)、上海(2018年)にギャラリーを開設。一方、今年2月には、アートディーラーのトム=デヴィッド・バストーク、ディラン・レッセルと3者で運営していたセカンダリー市場でのビジネスパートナーシップを解消している。このコラボレーションでは、パリに店舗を開いたほか、ドバイを拠点に中東にも進出した。これら2つのスペースは、今後バストーク・レッセルの名で運営される。
さらに昨年後半、ペロタンはギャラリーの株式の60%をコロニー・インベストメント・マネジメントに売却したことで話題になった。当時ペロタンは米ブルームバーグにこう意欲を語っている。
「ここ数年、アート市場には大変革がもたらされましたが、まだまだ本番はこれからです。世界中で活動を強化し、新たな地域へ進出する必要があります」
来年ロンドンでのギャラリーオープンを控えたペロタンは、10月9日に始まるフリーズ・ロンドンに、著名なイギリス人彫刻家リン・チャドウィックの作品を出展する。(翻訳:石井佳子)
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