浜町ホテルの「TOKYO CRAFT ROOM」で、香りと音の芸術が織りなす独創的な宿泊体験を

東京・日本橋浜町にあるデザインホテル「浜町ホテル 東京」には、デザイナーやアーティストがつくったプロダクトが置かれたコンセプトルーム「TOKYO CRAFT ROOM」がある。その第8弾となるプロジェクトが2月に発表され、クリエイターが同室のためのオリジナルアイテムを生み出すプロセスが公開・発信された。
今回は「感覚の蘇生」をコンセプトに香りをつくるアーティスト、和泉侃と、音楽家の江崎文武の2人による作品。和泉は TOKYO CRAFT ROOMのための香りを制作し、江崎はその香りに着想を得て音楽を作曲した。

和泉がつくったのは、「東京の記憶装置」をイメージした石の形の印香(いんこう)。東京に昔からあったハマスゲ、ツワブキ、ヨモギなどの植物や石を採取して香りを抽出して試作を重ね、完成させたという。印香は練香の一種で、粉末にした香料を練り合わせて型に入れて固め、型抜き後に乾燥させたお香のこと。お香ではあるが火をつける必要がなく置いておくだけでよく、香りの持続時間も長い。中には10年以上香りがもつものもあるという。正に香りの「記憶装置」だ。

その香りから江崎が生み出したのは、アンビエント・ミュージック(環境音楽)だ。江崎はソウルバンド、WONKのメンバーでもあり、和泉にはバンドのオリジナル香水の調香をお願いしている仲でもある。

TOKYO CRAFT ROOMでの静寂な宿泊体験と、和泉の土っぽい香り、そして、近くに墨田川があり、かつては花街だった浜町の背景から、ピアノをベースに、水の音や三味線の音がミックスされた瞑想的な音楽をつくり上げた。再生媒体には、カセットテープを採用。同室では1970年代のモノラルラジカセを通して聴くことができる。

TOKYO CRAFT ROOMは宿泊可能。ぜひ、アーティスティックな香りと音楽に身を浸しに訪れてみてはいかがだろうか。
HAMACHO HOTEL TOKYO
東京都中央区日本橋浜町3-20-2
03-5643-1811