今週末に見たいアートイベントTOP5: アンゼルム・キーファーのアジア最大級の個展、クラフトとたどるロエベ179年の歴史

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ライン川 Der Rhein The Rhine 2023 キャンバスに乳剤、油彩、アクリル絵具、シェラック、金箔、電気分解による沈殿物 280 × 380cm Photo: Nina Slavcheva
アンゼルム・キーファー:ソラリス(元離宮二条城)より、ライン川 Der Rhein The Rhine 2023 キャンバスに乳剤、油彩、アクリル絵具、シェラック、金箔、電気分解による沈殿物 280 × 380cm Photo: Nina Slavcheva

1. 〈感覚の点P〉展(東京都渋谷公園通りギャラリー)

「今村遼佑×光島貴之〈感覚の点P〉展 」展示風景 2025年 撮影:前谷開
光島貴之《さやかに色点字 ― 中原中也の詩集より》2023-2024年 撮影:片山達貴
光島貴之《さやかに色点字 ― 中原中也の詩集より》2023-2024年 撮影:前谷開

2作家が伝える「多様な世界の在り方」

美術作家の今村遼佑と全盲の美術作家、光島貴之による、作品展示と感覚をめぐるリサーチの記録を伝える展覧会。世代も制作スタイルも異なる2人は、2022年頃より対話をはじめ、共通の体験を糸口に個々の美術作家としての感覚の違いに注目し、そこから生まれる新たな表現を探求してきた。

本展では、それぞれ異なる感覚を数学の問題に用いられる「任意の点P」になぞらえ、「わたしの/誰かの〈感覚の点P〉」を通して多様な世界の在り方にふれる。会場には3つの異なる空間に広がる今村のインスタレーション作品や、光島が手掛けた手で触れることのできるレリーフ状の作品などが展示され、鑑賞者は直感的に楽しむことができる。そのほか2人が共同制作した作品《触覚のテーブル》を用いたワークショップなど、ゲストを招いた参加型のプログラムも行う。

今村遼佑×光島貴之 感覚をめぐるリサーチ・プロジェクト〈感覚の点P〉展
会期:2月15日(土)~5月11日(日)
場所:東京都渋谷公園通りギャラリー(東京都渋谷区神南1-19-8 渋谷区勤労福祉会館)
時間:11:00~19:00
休館日:月曜(5月5日を除く)5月7日


2. 特別展「ノー・バウンダリーズ」(国立国際美術館)

エヴェリン・タオチェン・ワン 《トルコ人女性たちのブラックベリー》2023年 油彩、鉛筆、石膏、カンバス 国立国際美術館蔵 © Evelyn Taocheng Wang
ミン・ウォン《ライフ・オブ・イミテーション》2009年 2 チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(HD、カラー、サウンド) 国立国際美術館蔵 © Ming Wong
田島美加《アニマ11》2022年 黒ガラス、ブロンズ製ジェットノズル 国立国際美術館蔵 Photo by Charles Benton © Mika Tajima

世界に存在する様々な「境界」をアートで考察

同館が所蔵する、世界的に活躍する20余名の現代美術作家の作品を通して、現代社会におけるさまざまな「境界」を考察する。

本展では、クリスチャン・ボルタンスキーフェリックス・ゴンザレス=トレス三島喜美代、ミヤギフトシ、森村泰昌シンディ・シャーマン田島美加、田中功起、ヴォルフガング・ティルマンスヤン・ヴォー、山城知佳子、やなぎみわなど多彩な作家たちが登場する。その中でもミン・ウォンの映像作品《ライフ・オブ・イミテーション》や、エヴェリン・タオチェン・ワンの油彩画《トルコ人女性たちのブラックベリー》は、ジェンダー問題や植民地史をテーマとしている。それらの作品は、鑑賞者の既成概念を解体し、多様性や共生の価値を再認識させるだろう。

特別展「ノー・バウンダリーズ」
会期:2月22日(土)~6月1日(日)
場所:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
時間:10:00~17:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(5月5日を除く)5月7日


3. 長島伊織 個展「TULIP」(LURF GALLERY)

幼少期の記憶をテーマに制作した新作を発表

長島伊織は、写真や映像を手がかりに、絵画ならではのリアリティを追求し、記憶や感情を可視化する作品を制作してきた。本展では、幼少期の記憶をテーマに、生と死、記憶の曖昧さ、イメージの時間性を探る新作を発表する。

展示タイトル「TULIP」は、幼い頃の記憶では墓地を花が咲く場所として認識しており、チューリップを見に墓地まで散歩に行ったという、本人にとって大切な記憶に由来する。記憶は曖昧ではあるものの、長島は「死を象徴する墓地と美しい花というコントラストに惹かれていたのかもしれない」と振り返る。200号の大作も展示される本展では、作品に込められた時間の流れや記憶の形を感じながら、鑑賞者の内なる記憶を呼び覚ます機会となるだろう。

長島伊織 個展「TULIP」
会期:3月7日(金)~4月14日(月)
場所:LURF GALLERY 2F(東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1)
時間:11:00~19:00
休館日:なし


4. アンゼルム・キーファー:ソラリス(元離宮二条城)

ヨセフの夢 (原題:Josephs Traum) 2013 キャンバスに写真、乳剤、油彩、アクリル絵具、シェラック・ニス、電気分解による沈殿物、チョーク 280 × 470cm Photo: Nina Slavcheva
マアト=アニ (原題:Maât-Ani) 2018–24 樹脂、スチール、鉛、羽毛 188 × 150 × 124cm Photo: Nina Slavcheva
ライン川 Der Rhein The Rhine 2023 キャンバスに乳剤、油彩、アクリル絵具、シェラック、金箔、電気分解による沈殿物 280 × 380cm Photo: Nina Slavcheva
元離宮二条城 二の丸御殿御清所 Photo: Ufer! Art Documentary
ラー Ra 2019 鉛、スチール 940 × 950cm Photo: Nina Slavcheva

世界遺産・二条城で重層的に紡がれる日本への思い

半世紀以上にわたり、文学・歴史・哲学・科学・宗教・神話などを題材に人類の普遍的なテーマを作品に込めてきたドイツ出身の世界的現代アーティスト、アンゼルム・キーファー。キーファーにとってアジアでは過去最大規模の個展となる本展では、新作や初公開作品を含む絵画・野外彫刻・ガラスケース作品・インスタレーションなど計33点が展示される。

本展はキュレーターでもあるファーガス・マカフリー自身が、作家のスタジオで一枚の絵画を目にし、日本の狩野派の絵画を連想したところから始まる。キーファー自身は意識していなかったものの、そこから狩野派による絢爛豪華な障壁画が彩る二条城での展示に繋がっていった。本展では、日本の和歌から着想を得た作品や、広島への原爆投下80年と自身の終戦直前に空襲下の病院の地下で生まれたという生い立ちにちなんだ作品も展示され、重層的なイメージの中にキーファーの日本への眼差しが垣間見える。

アンゼルム・キーファー:ソラリス
会期:3月31日(月)~6月22日(日)
場所:元離宮二条城 二の丸御殿台所、御清所等(京都市中京区二条通堀川西入二条城町541)
時間:9:00~16:30(入場は30分前まで)
休館日:なし


5. ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界(東京都渋谷区神宮前)

ロエベ 2024秋冬ウィメンズ ランウェイコレクション アスパラガス クラッチバッグ ビーズ刺繍、フェルト、レザー ロエベ アーカイブ
アルバート・ヨーク Two Trees in Landscape 1970年頃 木材に油彩 ロエベ アートコレクション
テイラー・ラッセルがニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された2024年のメットガラ 〈眠れる美への追憶──ファッションがふたたび目覚めるとき〉で着用したロエベのカスタムウェア 木象嵌を模した錯視効果プリントの3D成型ハイネックボディス、シルククレープマロカンの ドレープスカート レプリカ ロエベ アーカイブ
ビヨンセが2023年のルネッサンス・ワールド・ツアーで着用したロエベのカスタムウェア:ロエベ 2022 秋冬ウィメンズコレクションを着想源に 全面に散りばめられたゴールドクリスタル、錯視効果を演出する手のモチーフ、 ブラックラバーラテックスグローブで装飾されたサテンテクニカルジャージーのボディスーツ レプリカ ロエベ アーカイブ

クラフトと共に歩んだロエベ179年の歴史を紹介

創造性と革新の179年の歴史を持つロエベが初の大型展覧会を開催する。ロエベのファッションに対する前衛的なアプローチと世代を超えて受け継がれるクラフトの文化を紹介する展覧会で、世界を旅する巡回展として2024年に上海で初開催された後、今回東京・原宿での開催が実現した。

21世紀において数々の革新的な建築を手がけた設計事務所OMAが協力した本展は、ロエベが1846年にレザー職人が集う工房としてスペイン・マドリードで創業してから世界有数のファッションブランドに成長するまでの過程を彩るデザインや文化的コラボレーションを紹介する。また、会場に設けられた様々な部屋では、スタジオジブリや京都の陶芸ユニットのスナ・フジタをはじめ、近年のロエベのコレクションにインスピレーションを与えた想像力の世界へと没入することができる展示が繰り広げられる。東京での開催を祝し、ロエベ財団が継続的に支援する京都で400年以上にわたって茶の湯釜を造り続けてきた大西家のドキュメンタリー映像や、Craft Prizeのファイナリストである四代田辺竹雲斎と渡部萌、2019年の大賞受賞者である石塚源太らの作品も特別展示される。本展では事前予約を推奨しているが、当日入場も受け付けている(混雑状況により希望時間に案内出来ない場合あり)。

ロエベ クラフテッド・ワールド展 クラフトが紡ぐ世界
会期:3月29日(土)~5月11日(日)
場所:東京都渋谷区神宮前6-35-6
時間:9:00~20:00(入場は1時間前まで)
休館日:なし

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