ドイツ極右派が「バウハウスが街を殺した」と非難。他党は「ナチ的思想」と反論
ドイツの極右政党の議員たちが、20世紀初頭に興ったバウハウス運動に対して「無機質な建築が地域的な特徴を希薄化させた」と主張する文書をドイツ議会に提出。それについて他政党の議員はナチズムを想起させると非難している。
ドイツの右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の議員たちは、20世紀初頭に興ったバウハウス運動を「禁欲主義とミニマリズムの強調がモダニズムを誤った方向に導いた」と批判。「モダニズムの誤った道」と題する公式な提案書をドイツ議会に提出し、バウハウスの再評価を求めたと中部ドイツ新聞が伝えた。
バウハウス運動は、1919年にドイツ・ワイマールに設立された、工芸・写真・デザインなどを含む芸術・建築の学校「バウハウス」で興った芸術とデザインの運動を指す。ナチスにより1933年に閉校するまで、同校に学ぶ生徒や教師らは、さまざまな分野の境界を取り払ったモダンなデザインの枠組みを確立し、「アート」が必ずしも日常の暮らしに相容れないものではないことを示した。この運動に関わった人物には、パウル・クレー、ワシリー・カンディンスキー、ジョゼフ・アルバースとアニ・アルバース、ラースロー・モホリ=ナジ、オスカー・シュレンマーなどがいる。バウハウスが後世の芸術論や美術思想、美術教育に与えた影響は大きく、今なお彼らの活動は語り継がれている。
AfDの議員たちによる提案書の提出は、1999年に開校したバウハウスのデッサウ校舎で、創立100周年を祝うために繰り広げられる2年に渡る大規模なプログラムに先立って行われた。彼らはバウハウスの美学に同意できないと話しており、提案書には「節制とミニマリズムの強調は、しばしば冷たく、歓迎されない、魅力に欠ける無機質な建築へとつながった」と記されていると報じられている。また、バウハウスが「均一性」を優先したために、「地域的な特徴の希薄化と、建築やデザインの標準化を促進し、文化的多様性に悪影響を与えている」と主張している。
一方で、ドイツの他政党の議員たちは、AfDによるバウハウス運動に対する主張は、ナチスがモダニズムを「退廃芸術」として迫害していたのを連想させると指摘。自由民主党の党首アンドレアス・ジルバーザックは中部ドイツ新聞の取材に対し、「AfDは、ナチズムの真髄を示している」非難した。(翻訳:編集部)
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